あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 「な、何だったんでしょう、今の」
 「神様のいたずらさ」
 『雷深さんといい、百花といい、どうして、俺の周りはこうもイタズラ好きが多いんだ』と、心の中で囁く瑠宇斗は、ため息をつきながら瑞穂を見た。
 「瑞穂、雷が怖いか?」
 「うん、だって凄く大きな音だから・・・それにね、小さい頃、おへそを取られるって教えられて・・・おへそ取られるって、凄く怖くないですか?」
 色々な伝承は、身を守るためだと言われている。子供にも分かりやすいように言い伝えられたのだろう。
 「本当だな。おへそ取られたら困るもんな」
 真剣に話す瑞穂が愛らしくて、瑠宇斗は思わず笑ってしまった。
 「あっ!馬鹿にしたでしょ!」
 「してないよ」
 「ううん、絶対、馬鹿にした!」
 「だから、してないって」
 瑞穂との何気ないやり取りが幸せで、これがきっと、愛おしいという感情なんだろうと瑠宇斗は思った。
 そして、その感情はどんどん膨れ上がる。
 「一瞬だったけど・・・濡れちゃった・・・」
 「大丈夫か?」
 「くしゅんっ!早く着替えないと。瑠宇斗さん、戻りましょう」
 「あぁ、戻ろう・・・ちょっと待て、瑞穂。こっち来い」
 瑞穂が近寄ると、瑠宇斗はお姫様抱っこをした。
 「る、瑠宇斗さん?」
 「シャツが濡れて透けてるぞ」
 「えっ?・・・キャッ!本当だ」
 「俺の首に手を回せ。そうすれば、皆に見えない。直ぐだから我慢しろよ」
 「は、はい・・・」
 瑞穂は恥ずかしいけど、言われる通りに抱きついた。
 「私なんて・・・見えてもたいした事ないのに・・・」
 「俺が嫌なんだ」
 瑞穂はその言葉に、ドキッとした。それって・・・どういう意味ですか・・・?思わず言いそうになったが、今は瑠宇斗の温もりを感じていたいと言葉を呑み込んだ。
 『雷様!怖かったけど、ありがとうございます!』そう瑞穂は強く念じた。

 その頃、イタズラを仕掛けた雷深はというと・・・
 「ハァ、ハァックションッ!!何だ?100年ぶりにくしゃみなんて出たぞ。誰か俺の噂をしているな?そうか、瑠宇斗が緑運に告げ口したか?」
 店に戻っても嬉しくて感謝し続ける瑞穂のことなど知らない雷深は、くしゃみがしばらく続いたのだった。
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