あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 瑞穂が照れながら店内の商品を見ていると、奥から1人の可愛らしい女性スタッフが出て来た。
 「店長、この商品どこに置きますか?」
 「あっ、藤野さん。ここに置いてくれるかな?」
 「はい。あっ、いらっしゃいませ。店長のお知り合いですか?」
 「そうなんだ。こちらは僕の恩人で瑠宇斗さんだよ。ときよ屋ってお店で働いているんだ」
 「初めまして。恩人というより、友人ですが・・・」
 小柄で明るく可愛らしいスタッフの藤野に瑠宇斗が優しく微笑むと、恥ずかしそうにしている。
 きっと・・・瑠宇斗に初めて会った時の自分もこうだった・・・瑠宇斗はひと目見ただけで、人を惹きつけるほど魅力的だから・・・
 「よ、宜しくお願いします!」
 頬を赤らめ声が上ずり、瞳を煌めかせている藤野を見て、瑠宇斗に異性として興味を持ったんだと確信した。
 「こちらはときよ屋の店主のお孫さんで、天宮さんだよ」
 「初めまして!・・・あれっ?そのネックレス、うちのですよね?」
 「はい・・・」
 「俺がプレゼントしたんです」
 「もしかして・・・2人は恋人同士ですか?」
 「いえ、恋人同士では・・・」
 「そうなんですね」
 笑顔で喜ぶ藤野は、小さな声で「良かった・・・」と囁いていた。
 それは、彼女じゃなくてってことだよね・・・胸がざわつく瑞穂の気持ちなど知らずに、藤野は瑠宇斗にずっと話しかけていた。
 「瑠宇斗さん!花火大会があるじゃないですか?一緒に行きませんか?」
 瑞穂の動揺している心に更に矢を突き立てるように、藤野が瑠宇斗を誘った。
 「すみません。もう約束してるので」
 「そうですか・・・残念です・・・あっ、今度お店に行きますね!」
 「えぇ、それでしたらいつでも」
 「私、癒怒町に来たばかりで・・・散歩道がとても綺麗って聞いて行きたいと思ってたんですよ。案内してもらえるんですか?」
 「えぇ、もちろんです」
 「じゃあ、今度お願いします!あっ、いらっしゃいませ!」
 藤野は、入ってきたお客さんの対応をしていた。
< 53 / 192 >

この作品をシェア

pagetop