あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 「瑠宇斗さんがこの店に来た後、スタッフが辞めて代わりに藤野さんが来てくれたんですが、元気で明るいし、積極的で助かってますよ。いつか自分もお店を持ちたいらしく、勉強したいって。23歳でしっかりしてますよ」
 それを聞いた瑞穂は、自分と同じ年なのに、夢をしっかり持っていて、積極的な藤野に引け目を感じた。
 「瑞穂、そろそろ行こうか」
 「は、はい・・・」
 「では新河さん、今日はこれで失礼します」
 「えぇ、近いうちにお店に行きますね」
 挨拶をしてお店を出ようとすると、
 「瑠宇斗さん!」
 藤野が走って来た。
 「もし良かったら、連絡先交換して貰えませんか?」
 「俺、スマホを持っていないんだ」
 藤野は、スマホは持っているけど直ぐに連絡先を教えない、紳士的な人なんだと勝手に良いように解釈して、ますます瑠宇斗に好意を寄せた。
 「そうでしたか。今度、お店に行きますね!失礼します!」
 「えぇ、待ってますよ」
 優しく微笑む瑠宇斗をしばらく見つめた藤野は頬を染めて、お辞儀をすると店の中に戻って行った。
 「さぁ、行こうか瑞穂」
 「は、はい・・・」
 瑠宇斗が道案内をするのは仕事だから仕方ないと分かっているし、皆が好きになるのも分かっているけど、約束ごとをする2人を目の前で見ると、嫉妬に駆られる。
 「どうした?疲れたか?」
 「い、いえ・・・大丈夫です」
 俯いて返事をすると、瑠宇斗は瑞穂の腕を掴み、振り向かせるとじっと目を見つめた。
 「瑞穂・・・俺に嘘をついてもダメだ。どうした?」
 「何でも・・・ないですから」
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