あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 「ただいま帰りました。遅くなってすみません、登喜代さん」
 「お帰り!助かったわよ!じゃあ、瑞穂は店番頼むわね。瑠宇斗君、荷物運んでくれる?」
 「はい」
 登喜代と瑠宇斗が店の奥に入ると、1人の男性がお店に入って来た。
 「あれっ?新しいバイトの人・・・って、もしかして・・・瑞穂ちゃん?」
 「いらっしゃいませ。はい・・・えっとー・・・失礼ですけど・・・」
 「やだなぁー、僕だよ僕。松宮信司(まつみや しんじ)、小学生の頃、瑞穂ちゃんが遊びに来た時、一緒に遊んでいた」
 「もしかして・・・信ちゃん?」
 「そう!久しぶりだね、瑞穂ちゃん。綺麗になったなぁ・・・ずっと会いたかったんだ」
 「ずっと来てなかったから・・・信ちゃんはずっとここに?」
 「大学の時に家を出たけど、卒業してから実家に戻って来たんだ」
 「そうなんだぁ、懐かしいね」
 2人は小学3年の時、癒怒町の『子供夏祭り』で初めて出会った。信司は東京から来た瑞穂が1人で寂しそうにしていたのを見て、声を掛けて一緒に遊んだ。それ以来、毎年子供祭りの時に東京から来る瑞穂と一緒に過ごすことを楽しみにしていた。信司にとって、瑞穂は初恋の人だった・・・

 中学1年になって、瑞穂を見かけなくなってから、そんな思い出も薄らいでいたけど、たまにこの山に遊びに来ると、淡い初恋を思い出し胸がキュッと締め付けられた。
 瑞穂はそんな信司の想いなど知らず、昔話に盛り上がっていた。
 「信ちゃん、勉強出来たから助かったよ。宿題も教えて貰ってたから・・・虫のこともよく知ってたよね」
 「瑞穂ちゃんは怖がっていたから、あまり話はしなかったけどね」
 「そういう信ちゃんの優しさは分かっていたよ」
 「照れるなぁ・・・僕は子供祭りが近づくと、瑞穂ちゃんに会えるって凄く楽しみだった」
 信司はあの頃の記憶が蘇る。遊んでいたただの思い出だけじゃなく、ドキドキする想いも・・・
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