あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 2人で話をしていると、瑠宇斗が奥から出て来た。
 「いらっしゃいませ」
 「あっ、信ちゃん、紹介するね。こちらスタッフの瑠宇斗さん。瑠宇斗さん、彼は幼馴染みの信司君です」
 「初めまして、信司君」
 「初めまして・・・」
 「瑞穂、俺はもう少ししたら山に行くけど、何か手伝う事はないか?」
 「そうですねぇ・・・掃除も終わったし、大丈夫です」
 「じゃあ、俺は少し2階に上がって来るよ」
 「はい」
 瑠宇斗が階段を上がっているのを目で追う瑞穂を見て、信司は気がついた。
 「あのさ・・・瑞穂って呼び捨てだけど・・・もしかして・・・瑞穂ちゃんの彼氏さん?」
 「ち、違う!」
 瑞穂は自分の願望を否定するという緊張感で声が上擦った。
 「隠さなくていいよ」
 「だから違うって!年下で初めてあった時から、そう呼んでいただけで・・・」
 「そう・・・向こうはさ、そうかもしれないけど、瑞穂ちゃんはどうなの?動揺してるし」
 「ど、どうなのって、何もないし、動揺したのは突然そんな事言われたら・・・」
 「良かったぁ!あんなイケメンが相手なら勝ち目無いと思ったけど、僕にもチャンスがあるってことだ」
 「チャンス?」
 「いや、何でもない。あっ、弟に店番頼んでるんだ。これから宜しくね」
 瑞穂がキョトンとしていると、2階から瑠宇斗が下りてて来た。
 「じゃあ、また来るね。失礼します、瑠宇斗さん」
 「気をつけて」
 会釈した後、店を出ようとした信司はポスターに目が止まり、瑞穂に向かって、
 「あのさっ!早速だけど、来週の花火大会、一緒に行かない?」
 と、声をかけた。瑞穂は突然の誘いにビックリしたものの、もう予約済みだ。
 「えっとー、実は先約が・・・」
 瑠宇斗が藤野に言ったように、自分も予約済みなんだと、優越感に浸りながら瑞穂はチラッと瑠宇斗の顔を見ると、瑠宇斗が近づいて来た。
 「瑞穂、信司君と行っておいで」
 「えっ?だって・・・」
 「せっかく久々に会った幼馴染みからのお誘いだ。きっとその方が楽しいだろう。俺は山を見回ってくるよ。じゃあ、信司君。また来て下さいね」
 「あ、はい・・・」
 あっさりと約束を撤回し、信司と花火大会に行くことを薦めた瑠宇斗の背中を複雑な思いで見送った。
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