あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 「さぁ、そろそろ終わりのようだ」
 瑠宇斗と一緒に見る花火は、今夜1度きり。来年は一緒に見ることが出来ない。この時間をいい想い出にしたい。瑞穂は気持ちを切り替えた。
 「瑠宇斗さん・・・綺麗ですね。私、今日見たこの景色、ずっと忘れません」
 「あぁ・・・俺も忘れないよ。瑞穂と見たこの花火が、今までで一番綺麗だから・・・」
 微笑みながら花火を見上げる瑠宇斗は、儚くも美しい。ずっと忘れない。この素敵な横顔も・・・
 そして、最後の花火が夜空に消え、いつもの静かな夜に戻った。

 「帰ろうか。店まで送るよ」
 「はい・・・あっ!忘れてた!くじの抽選結果が大会の後、発表なんですよ。当選番号、登喜ばぁなら知ってるかも。私、ラッキー7なんですが・・・」
 急いでスマホを出すと、登喜代からメッセージが入っていた。
 「あっ、登喜ばぁからだ・・・えっ?!うそっ!1等の当選番号、7番だって!」
 「凄いじゃ無いか!良かったな。ところで、1等商品は何なんだ?」
 「確か裏側に・・・2名様温泉旅行1泊2日だって!」
 どうしよう!2人きりで温泉旅行なんて・・・瑞穂は勝手に瑠宇斗と一緒に行くことを想像していた。
 「店は俺が留守番してるから、登喜代さんと2人で行っておいで」
 「あっ・・・は、はい・・・」
 瑞穂はまるでジェットコースターのように、気分が急上昇、急降下している。登喜代が見たら、きっと表情の豹変に吹き出しているだろう。馬鹿だ・・・何度学習したら分かるんだ。瑠宇斗のことしか頭になく、都合のいい風に妄想してしまう。瑞穂は勝手に瑠宇斗と行けると思って、大はしゃぎしてしまった自分を猛反省した。
 「さぁ、帰ろうか。送っていくよ」
 2人の時間はもう終り・・・最初で最後の花火大会・・・
 「瑞穂。夜道は危ないから、手をつなごうか」
 「えっ・・・」
 「嫌ならいいんだが、1人で大丈夫?」
 「大丈夫じゃないです!そして嫌ではありません!宜しくお願いします」
 瑞穂はお辞儀して、手を伸ばした。
 はっ!これは端から見ると、ドラマやアニメに出て来そうな、男性が女性に交際を申し込むシーンじゃない・・・ましてこの花火大会が終わってからのシチュエーション・・・恥ずかしくて顔を上げれない・・・
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