あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 「瑞穂がいいなら」
 瑠宇斗は手を取り、2人は歩き出した。下を向きながら辺りを見たけど、幸い誰も瑞穂のことなんて見もしていなかったようだ。
 「瑞穂、さっきから様子がおかしいぞ?お腹でも痛いのか」
 「ううん、大丈夫。何でもない」
 「手を離すなよ。瑞穂はドジなんだから」
 「だから、ドジじゃありませ、わっ!」
 瑞穂は足を踏み外し、階段から落ちそうになったのを瑠宇斗に抱きしめられた。
 「だから言ったのに・・・大丈夫か?」
 「あ・・・足、捻っちゃっいました・・・」
 「はぁ・・・まったく瑞穂は・・・」
 「すみません・・・」
 「ほら、背中に乗って」
 「えっ、せ、背中ですか?」
 「それ以上足を痛めたら、旅行にいけないぞ?ほらっ」
 「は・・・はい」
 おんぶされると、「痛くないか」「しんどく無いか」とずっと気遣ってくれている。2人で過ごせる時間がいつか終わると分かっているのに、好きが膨らんで・・・好き過ぎて苦しい・・・幸せ過ぎて涙がでちゃう。この温かい背中の温もりは・・・絶対に忘れない。

 「あっ、登喜代さんだ」
 登喜代が店の前で手を振っている。
 「どうしたのよ、おんぶされて」
 「すみません。俺がついていながら、足をくじいてしまったようで。たいした事はなさそうですが、夜道は危ないのでそれで・・・」
 「まったくもう・・・ありがとうね、瑠宇斗君。そうそう、瑞穂ちゃん、くじが当たったのね!凄いわ!」
 「私もびっくりしたの。登喜ばぁ、いつなら行ける?」
 「あらっ、私はお店があるから行かないわよ」
 「俺が留守番してますから、2人でゆっくりしてきて下さい」
 「いいのよ。だって、そこならいつでも行けるわ」
 「あっ、場所を見るのを忘れてた!えっと、喜見湖を見渡せる高級ホテル・・・近っ!」
 「町のくじなんだから十分じゃない。私は2等の商店街の商品券1万円が良かったわぁ・・・ということで、瑠宇斗君、私の代わりにお願いね」
 「俺・・・ですか?」
 いつでもどこにでも行ける瑠宇斗にしてみれば、旅行に行く楽しみが分からない。
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