あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 🐺🐺🐺
 食事も終り温泉を出たあと、待ち合わせをしていた瑠宇斗と瑞穂は、お互いの部屋の前に立ち止まった。
 「瑠宇斗さん、おやすみなさい」
 「あぁ、ゆっくりと休めよ」
 瑞穂はベッドに横になると、今日の出来事を思い出していた。
 0時を過ぎても寝付けない瑞穂は、静かに部屋を出て、フロントの横にあるソファに腰掛けると、外に2人の人影が見えた。
 「あれは・・・瑠宇斗さんと百花さん・・・こんな夜遅くに2人で・・・」
 慌てて2人に見つからないように入り口に向かい外に出ると、さっきまでいたはずの2人の姿は、まるで急に消えたようにいなくなっていた。
 やっぱり瑠宇斗さんと百花さんは・・・

 外は街灯があるものの、知らない土地で探すことは出来ない。少し辺りを見渡したあと仕方なくホテルに戻ろうとした時、1人の男性がホテルから出て来た。
 「あれは・・・信ちゃん?」
 瑞穂は慌てて信司のところに駆け寄った。
 「ねぇ、信ちゃん。こんな夜中に何処に行くの?」
 信司は瑞穂のことなど存在しないかのように、ただゾンビのようにゆっくりと歩いて山の方に向かおうとする。
 何度声を掛けても反応せず、虚ろな目をしてただ前だけを見てゆっくり歩き、腕を掴んで引っ張っても、凄い力で前に進んだ。
 「危ないよ、信ちゃん!しっかりしてっ!キャッ!」
 瑞穂に腕を掴まれた信司は、力の加減をすることなく振り払った勢いで、瑞穂が投げ飛ばされた瞬間、百花と一緒に現れた瑠宇斗が瑞穂を支えた。
 「瑞穂!大丈夫か!」
 「瑠宇斗・・・さん?」
 「怪我は無いか?」
 「私は大丈夫ですが、信ちゃんの様子が・・・声をかけても遠くを見てるし・・・」
 「瑞穂は心配しなくていい。もう大丈夫だから」
 「でも・・・」
 「百花。後は頼んでいいか?」
 「えぇ、彼のことは任せて。助かったわ。おかげで探す手間が省けたから」
 「瑞穂。行こう。詳しい事は部屋で話す」
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