あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 「こんにちは」
 甘い声に色気ある笑顔。その人の周りだけが何か違う空気を醸しだしている・・・
 瑞穂は、見とれているのが相手に悟られてはいけないと、「ゴ、ゴホンッ」とひとつ咳払いをして、
 「えーっと・・・大丈夫です!隠密で来られたんですよね?すみません、私、モデルさんとか俳優さんとか疎いところがあって、お名前は分かりませんが・・・そ、そうだ!あの奥の席にどうぞ」
 と、ヒソヒソと小声で話しかけた。
 これからカナダに行くんだ!ハプニングにも対応出来るようにしないと!こんなことで狼狽えてどうするの!あまりのイケメンにドキドキしつつ、瑞穂は深呼吸をして心を落ち着かせた。
 「モデル?やっぱり君は面白いね・・・登喜代さん、いるかな?」
 「えっ?」
 やっぱりって・・・何処かで会ったことあったっけ?・・・こんなイケメンなら、すれ違っただけでも覚えてると思うけど・・・
 「えっーと・・・どちら様ですか?」
 「今日からバイトでお世話になる神元瑠宇斗です」
 バ、バイト!?・・・こ、この人が?!
 「わ、私は孫の天宮瑞穂です」
 「これから宜しく、瑞穂。中に入っていいかな?」
 「は、はいっ!ど、どうぞっ!」
 な、何?初対面の人を呼び捨てって!そ、そうか、遊び慣れている人なんだね・・・でも・・・どうしよう、このドキドキ・・・想像以上のイケメンだ・・・クールな雰囲気からの色気ある微笑みは反則でしょ・・・ひと目で墜ちるって漫画やドラマの世界だけかと思っていたけど・・・
 彼氏いない歴22年の瑞穂は初めましてのイケメンに、『瑞穂』とお父さん以外の男の人に初めて呼ばれて、明らかにいつもより早く動く鼓動を落ち着かせようと、胸に手を当てて深呼吸をした。

 「どうした?瑞穂。顔が赤いぞ?」
 「な、何でもありません!」
 怒ってるつもりはないけど、恥ずかしさを隠すために、少し口調が強くなってしまった。
 「俺は人に慣れてないから、気に触ることがあったなら、許して欲しい・・・これから色々教えてよ、瑞穂」
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