あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 「瑠宇斗さん、行ってもいいそうです!」
 「よし。じゃあ、キゼラに連絡するよ」
 「あっ、私、電話します。瑠宇斗さん、電話を掛けるの苦手ですもんね?新河さんが出たら変わりますね」
 「助かるよ。ありがとう」
 「いえ・・・これくらい・・・」
 本当は店に瑠宇斗が電話をして、藤野が取るのが嫌なだけだったが・・・
 嫉妬心からなのに瑠宇斗にお礼を言われて、後ろめたい気持ちもあるけど、やっぱり2人が仲良く話すのは嫌だ・・・瑞穂は藤野が出たらとドキドキして電話をすると、新河が出てホッとした。そして、事情を説明すると、ふたつ返事でOKしてくれた。

 「新河さん大丈夫だそうです!朝11時に車で癒怒駅に行きますって」
 「良かった。裕実さん、駅前に集合で大丈夫ですか?」
 「はい、お願いします。瑠宇斗さん、瑞穂さん、ありがとうございます」
 「俺にとって新河さんは大切な友人です。前に進み出している彼の背中を、俺ではなく、他の誰かが押してくれることを願っていたので・・・瑞穂と気の合う友人で、彼を思う裕実さんなら安心して任せることが出来ますよ」
 「そう言っていただけると、心強いです・・・では、宜しくお願いします」
 笑顔で頭を下げた裕実は店を出て行った。
 「上手くいくといいですね」
 「上手くいったとしても、困難が待っているかもしれないが・・・彼女ならきっと・・・」
 佳美が消える瞬間、瑠宇斗に託した言葉。それは・・・
 『彼が愛する人と出会って、幸せになるように力を貸してください・・・優しい彼を助けてあげて・・・』

 🐺🐺🐺
 「皆さーん!遅れてすみませーん!」
 3人が待っていると、小走りに手を振りながら走って来たのは裕実だった。
 「大丈夫ですよ。俺達も今来たところですから」
 「そうですよ。1番早く来てたのは、新河さんですけどね」
 「こんな風に誰かと出かけるのが久しぶりで・・・」
 「今日は新河さんが行きたい場所とリクエストしましたが、何処に行きますか?」
 「実は・・・ずっと昔、彼女と行った喜見湖に行きたくて・・・」
 「そこなら俺達も行けなかったから・・・そこにしましょう」
 「でも、瑠宇斗さん・・・」
 瑞穂はチラッと裕実の方に目を向けた。折角、初めて2人で行く場所が昔の彼女と行った、思い出の場所なんて・・・
< 83 / 192 >

この作品をシェア

pagetop