あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
【真の力の目覚め】
 それから月日が経つのはあっという間だった。
 冬になれば雪景色を見に来る人もいて、ときよ屋にはいつも通りに、お汁粉やお団子を食べに立ち寄る人もいた。

 瑠宇斗は期限が迫り、登喜代に見回り強化として外出許可を貰い、殆ど店にいなかった。
 「瑞穂、店を任せてすまない」
 「いえ、お店は殆どご近所の方ですし、瑠宇斗さんは大丈夫ですか?登喜ばぁに山を守ってもらってるって聞いてますが・・・」
 「あぁ、大丈夫だよ」
 「あの・・・クリスマスとか一緒に過ごせますか・・・」
 「クリスマスか・・・」
 人々が幸せそうに賑わうイベントの時は、人の悪事も増え、邪念も膨張する。瑠宇斗にとっては、楽しい時間ではなく、油断が出来ない時間だ。瑞穂と楽しんでいるわけにはいかない。
 「悪いな、瑞穂。一緒には過ごせない」
 「誰か・・・他の人と過ごされるんですね・・・」
 「そうじゃない・・・最初で最後のクリスマス・・・瑞穂と楽しく過ごせたらいいと思っているよ・・・」
 「瑠宇斗さん・・・」
 「理由は言えないけど、1人でやることがあるんだ」
 瑠宇斗は、瑞穂の手にクリスマス仕様で包装された箱を乗せた。
 「俺がデザインしたのを新河さんにお願いして職人に作って貰ったんだ。この世でたった1つの置き時計なんだ」
 「あ、開けていいですか?」
 「もちろん」
 「アイビーという植物なんだよ。瑞穂に葉をモチーフにした置き時計をあげたいって言ったら、それならこの植物が良いって新河さんが薦めてくれたんだ。今はスマホがあるから必要ないだろうけど、時を大切にして欲しいんだ」
 「ありがとうございます!大切にします!」
 「じゃあ、行ってくるよ」
 「はい、行ってらっしゃい」
 瑞穂は瑠宇斗が店を出たあと、嬉しさのあまり、
 「登喜ばぁ!10分ほど2階にいるから!」
 と慌てて階段を駆け上がり、スマホでアイビーの植物を調べた。
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