あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 「着いたよ、瑞穂」
 神の領域の前に着くと、目を開けた瑞穂をゆっくりと下ろした。
 「ふみの子孫よ。実は・・・」
 癒怒之神は、瑞穂に備わる力と今の山の状況を説明した。
 「分かりました・・・私にそんな力があるなんて信じられませんが、この山のためにやってみます」
 「では、早速頼む」
 癒怒之神が、神の領域の前に立ち、空に向かって高く聳え立つ樹木に手を当てると、輝く鏡のような固まりが現れた。
 「この神器は、神の領域全体に反射する。手をかざし、体の気を手に集中するように頭にイメージするのだ」
 「こう・・・ですか?」
 瑞穂は自分に起っていることに緊張して、手も体も震えが止まらない。
 「瑞穂・・・俺がついている。何かあれば俺が命がけで守る。そばにいるよ・・・」
 「瑠宇斗さん・・・」
 銀狼の瑠宇斗はそばに立ち、瑞穂を見つめた。
 サファイヤブルーの瞳は美しく輝き、銀白色の毛並みと体を覆うほどの尻尾は、もふもふとして抱きしめたくなる。
 「これが終わったら、ご褒美に抱きしめてもいいですか?」
 「・・・あぁ、もちろんだ」
 私にとって、こんな極上なご褒美はない。
 瑞穂は深呼吸して手をかざした。
 瑞穂が手をかざすのと同時に癒怒之神も手をかざし、光は神器に吸い込まれていく。
 しばらくすると、瑞穂の手から出る光が弱まり、体が揺れ始めた。
 「瑞穂、そこまでだ!」
 癒怒之神に止められて、手を下ろし足元が崩れ落ちた瞬間、瑠宇斗は下敷きになり瑞穂を支えた。
 「大丈夫か?瑞穂」
 「はい・・・大丈夫みたい・・・です」
 「ありがとう・・・山を守ってくれて・・・」
 「瑠宇斗・・・さん・・・・」
 銀狼の瑠宇斗に支えられたまま、瑞穂はそのまま意識を失った。
 「さようなら・・・愛しい瑞穂・・・」
 耳元で囁く声は、疲れ眠った瑞穂には届かなかった・・・
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