あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 「瑞穂、急ぐぞ!私が山道まで送る!力が消えれば、私にも掴まれなくなる」
 「あっ、待って下さい!!癒怒之神様!」
 「行くぞ!」
 緑運は瑞穂を背中に乗せ、尾が太く伸びて巻きつけると、急いで山を駆け下り、あっという間に山道の脇に出た。
 そして瑞穂を下ろし、
 「瑞穂、ありがとう・・・」
 その言葉を伝えると同時に、もう緑運の姿は見え無くなっていた。

 🐺🐺🐺
 瑞穂が山を降りるのを緑運は見届けて、癒怒之神の元に戻った。
 「癒怒之神様・・・2人のこと、ご存じだったのですね?」
 「緑運が嘘をついたのは2度目だ。瑠宇斗が来た頃、可愛くて仕方ないのは分かるが、厳しく教えろと言ったら、鼻をヒクつかせて、『いつも厳しくしすぎて泣いてますよ』とな」
 「・・・」
 「そして、ときよ屋での様子を聞いた時は、鼻をヒクつかせ、頬は緊張で引きつりながら、『登喜代の孫とは仲が悪くて大変そうですが、責務を果たすために耐えてます』だと。笑えたよ」
 「・・・申し訳ありません」
 「ただ、あのことは、時が来るまで瑠宇斗に知らせるな。絶対に守るのだぞ」
 「瑠宇斗の体が神の領域にあることでしょうか?」
 「そうだ。瑠宇斗は母との約束を守り、この山と町を守り続けてきた。守らなければ、肉体諸共、消滅させるつもりだったが、想像以上に、私の神使として務めあげた。もう、役目を果たしただろう。しかし、瑠宇斗が人として生きていけるかどうかを判断しなければならない。そもそも、本人がそれを望まないかもしれない」
 「そうですね・・・確かに、本人が望まないかもしれません。長くあやかしとして生きてきましたから・・・」
 「緑運。瑠宇斗が戻って来たら知らせてくれ。話があると」
 「承知しました」

 そして、しばらくして瑠宇斗が戻って来て、癒怒之神の前に現れた。
 「瑠宇斗よ。1年間ご苦労だった。約束を守ってくれた褒美だが・・・」
 癒怒之神の提案に、瑠宇斗は迷うことなく思いを伝えた。
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