あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
【新たなじれ恋の始まり】
 明くる日の朝早く、瑞穂は桜を見上げていた。
 「1年前、この桜の下で瑠宇斗さんと話していたのに・・・本当に目の前からいなくなっちゃった・・・」
 守り神の神使・・・そう思えば、優しかったこと、強かったことが納得できる。
 ネックレスを触りながら、瑠宇斗を思うと、ひとすじの涙が頬を伝った。
 嘘をついてここに来て、出逢った瑠宇斗との想い出。
 「瑠宇斗さん・・・私は、守る人の1人に過ぎなかったんだね・・・」
 手のひらを広げると、桜の花びらが落ちて来て寂しさが込み上げて来た。

 「今年も綺麗に咲いたな」
 大好きな声が隣から聞こえ、見上げると瑠宇斗が隣に立ち、桜を見上げていた。
 「瑠宇斗・・・さん・・・どうして・・・?」
 瑠宇斗は視線を瑞穂に向け、優しく微笑んだ。
 「癒怒之神様に許可を貰った。もう少し世話になるよ」
 「本当・・・に?」
 「捜し人、つまり瑞穂を見つけたご褒美だそうだ」
 「また一緒に・・・一緒に・・・」
 嬉しくて泣いていると、瑠宇斗はそっと頭を撫でた。
 「すまない。怖い思いをさせて」
 瑞穂は嬉しくて言葉が出ず、泣き笑いして、涙を拭いていた。それを見た瑠宇斗は、愛おしさに泣き終わるまで黙って頭を撫でていた。

 ようやく瑞穂が落ち着くと、
 「癒怒之神様が瑞穂の光から、ふみの形跡を辿っていたよ」
 と、瑠宇斗がゆっくりと話し出した。
 「ふみは、陰陽師の末裔でその力は先祖を超えるほどだったそうだ。悪意のある者達から逃れるため、既に朽ちた力だと隠してきた一族にとっては、ふみを隠さなければならなかった。旅の途中で癒怒町に宿泊した時にこの山の異変に気づいて、救ってくれた。本当は使ってはいけない力だったのに・・・瑞穂はそんな優しいふみの子孫なんだ」
 「でも私、そんな力これっぽっちも感じないし、出ないし・・・」
 「それでいいんだ。ふみもきっと、それを望んでいる。これは俺の想像だが・・・ふみは愛する人と普通の生活をするために力を封印しようとして、閉じ込めたのかもしれない。だが、登喜代さんの霊感からすると、母方も少なからず力があったのだろう。ふみの子孫である瑞穂に引き継がれた時、相乗して力が引き出されたのかもしれない」
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