あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 「でも、今は何も見えないですし・・・光も出ない。瑠宇斗さんの銀狼の姿を見たいのに。あの時の約束も・・・ねぇ、瑠宇斗・・・あれっ?」
 瑠宇斗が銀狼の姿になると、瑞穂はキョロキョロと辺りを見渡した。
 「瑠宇斗さん・・・どこ・・・?」
 瑠宇斗は目の前にいる。やはりあやかしが人を好きになるなんて・・・

 癒怒之神に褒美として瑠宇斗が望むなら、もう少し人間としてときよ屋で働いてもいいと言われた時、迷わずときよ屋に戻る選択をした。
 人としての生活をもう少し味わいたいという気持ちと、もう少し瑞穂のそばにいたいと思う気持ちと。
 これ以上一緒にいたら、もっと別れが辛くなる。そう自分では分かっているが・・・

 もう少しだけ瑞穂のそばにいたい。
 もう少しだけ瑞穂に触れたい。
 もう少しだけ・・・もう少しだけ・・・
 叶わぬ未来は承知の上で、戻ることを決めた。ときよ屋のスタッフ、瑠宇斗として守りたい・・・

 瑠宇斗は人間の姿に変化した。
 「瑞穂・・・」
 「瑠宇斗さん!ズルいですよ!」
 「鬼ごっこしたら、瑞穂はずっと鬼だな」
 「いえ!見えなくても瑠宇斗さんの気配は分かります!・・・今は・・・出来ませんが、分かるようになってみせます!私は、ふみさんの末裔ですから!いつか力を取り戻してみせます!だって、あのカッコいい、もふもふの瑠宇斗さんを抱きしめたい・・・じゃない、見たいですから!」
 瑞穂は真っ赤になりながらファイティングポーズをしていた。
 「それは楽しみだね。で、どうしてそのポーズなの?俺と喧嘩する気?」
 瑠宇斗は笑いながら、店に戻ろうと瑞穂の横を通る時、頭をポンポンと撫でた。
 「俺が瑞穂に勝てるわけないだろ?」
 「分かってますよ!瑠宇斗さんが私に勝てるわけ・・・えっ?私・・・?」
 「さぁ、店を開けるぞ!」
 「あっ、えっとー・・・はいっ!」
 桜吹雪が舞う中、2人はときよ屋の中へと消えて行った。
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