亡者逃走中in現世
第六章、決戦
最大のピンチ!
それから私達は、忙しい生活の合間を縫って可能な限り練習を重ねた。
私、しょーくん、宋、変成くんは全くの初心者だったが、少しでも追いつこうと必死だった。
しょーくんは毎日欠かさずコツコツと努力を重ね、私と変成くんは経験者である泰山王の厳しいながらも温かい指導のもと、手探りで腕を磨いていく。
一方で宋は持ち前のセンスを発揮し、教わったことを驚くほどの早さで吸収してめきめきと上達していった。
都市くんも趣味やアルバイトをこなしながら、曲作りを続けた。アイデアが浮かべばメモを取り、家に帰ってから見返して、少しずつ地道に曲を作り上げていく。
そんな私達の熱量に引っ張られるように、他の楽器担当組も猛練習を重ね、音の深みも技術も日に日に増していった。
さらに活動の幅を広げるため、歌い手としての動画投稿だけでなく、賑やかな雑談配信やメンバー同士のリアクションが光るドッキリ企画にも挑戦してみることにした。
学校の友達にも自分達の活動を照れくさがりながら宣伝し、動画の再生数やコメントが少しずつ増えていく喜びを噛み締めながら、私達は着実に人気の階段を登っていった。
✳✳✳
「真宵、配信見たよ!」
教室に入ると、美穂ちゃんが駆け寄ってくれる。
美穂ちゃんはにこーっと笑い、私もにぱーっと笑う。
照れ笑いの間が流れたあとで、美穂ちゃんがスマホを私に向けた。
彼女が差し出した動画は、ちょうど昨日投稿したばかりの雑談配信だ。
「それ、昨日やったやつだ!見てくれたんだ、ありがとう!」
コメント欄にも「このメンバー仲良すぎ」「歌と雑談のギャップがすごい」といった嬉しい言葉が並んでいる。
「うん!めちゃくちゃ面白かったよ。真宵のトークも冴えてたし、楓くんとの掛け合いが最高すぎ」
「あはは、裏ではみんな噛みまくりで大変だったんだけどね」
友達からの生の感想は、画面越しの数字やコメントとはまた違う嬉しさがあって、胸の奥がじんわりと温かくなる。
「それで、これよ!」
美穂ちゃんが見せてくれた画面の文字に、私は目を見開いた。
数日前に投稿した歌ってみた動画の再生数が、一万を超えている!
自分達が歌って踊っている動画が、知らない誰かにも見てもらえている。
そう考えると、なんだか不思議な気持ちになった。
最初はただ、亡者をおびき寄せるためだった。
配信者になれば、同じような活動をしている亡者が見つかるかもしれない。
そんな打算から始めた活動だったはずなのに……。
(このまま超人気配信者として活動するのもありかなーなんて……)
窓から入って来た暖かい風が、前髪を揺らす。
「あ、そうだ。今日の放課後空いてる?」
すると、急に美穂ちゃんは思い出したように聞いてきた。
「うん、空いてるよ」
「良かった〜。今日部活なくて、駅前のケーキ屋さんにお茶しに行こうよ」
「え、ケーキ?行ってみたい!!」
私が目を輝かすと、美穂ちゃんはサッとスマホの画面を私に向けてきた。
そこにはオシャレなケーキ屋さんの外観と、美味しそうなケーキの写真が何枚も載っていた。
「この店、学校から結構近いんだよ。この前、テレビでも紹介されたって」
「行きたい!」
「でしょ?じゃあ決まりね」
「うん!」
どうしよう、めちゃくちゃ楽しみ!!
しかも、私の好きなケーキが何種類も……楽しみだな〜!!
放課後。
帰り支度を終えた私は、約束通りに美穂ちゃんと一緒に学校を出た。
二人でお目当てのカフェがある駅へと向かう。
「えーっと、次の信号を曲がれば着くみたいだよ」
「楽しみだね!」
「ね〜!どんなケーキ頼もっかな〜」
美穂ちゃんと二人でワイワイはしゃぎながら真っ直ぐ目指していると、後からトントンと肩を叩かれた。
振り返ると―――若い、背の高い女性が立っていた。ヒールを履いて、長い黒髪をきっちりとひとつに結んでいる。
「すみません、道をお尋ねしたいのですが」
女性は取り出した地図を見せてきた。
ここからそう遠くなかったので、一緒にその場所まで案内することになった。
ガンッ!
突然のことだった。
鈍い音がして、美穂ちゃんがドサッと地面に倒れた。
「みっ……」
美穂ちゃん!
そう叫ぼうとしたけど。
ガンッ!
頭に強い衝撃と痛み。
倒れる瞬間、女性の勝ち誇った顔が最後に見えて……。
私はフッと意識を失った。
私、しょーくん、宋、変成くんは全くの初心者だったが、少しでも追いつこうと必死だった。
しょーくんは毎日欠かさずコツコツと努力を重ね、私と変成くんは経験者である泰山王の厳しいながらも温かい指導のもと、手探りで腕を磨いていく。
一方で宋は持ち前のセンスを発揮し、教わったことを驚くほどの早さで吸収してめきめきと上達していった。
都市くんも趣味やアルバイトをこなしながら、曲作りを続けた。アイデアが浮かべばメモを取り、家に帰ってから見返して、少しずつ地道に曲を作り上げていく。
そんな私達の熱量に引っ張られるように、他の楽器担当組も猛練習を重ね、音の深みも技術も日に日に増していった。
さらに活動の幅を広げるため、歌い手としての動画投稿だけでなく、賑やかな雑談配信やメンバー同士のリアクションが光るドッキリ企画にも挑戦してみることにした。
学校の友達にも自分達の活動を照れくさがりながら宣伝し、動画の再生数やコメントが少しずつ増えていく喜びを噛み締めながら、私達は着実に人気の階段を登っていった。
✳✳✳
「真宵、配信見たよ!」
教室に入ると、美穂ちゃんが駆け寄ってくれる。
美穂ちゃんはにこーっと笑い、私もにぱーっと笑う。
照れ笑いの間が流れたあとで、美穂ちゃんがスマホを私に向けた。
彼女が差し出した動画は、ちょうど昨日投稿したばかりの雑談配信だ。
「それ、昨日やったやつだ!見てくれたんだ、ありがとう!」
コメント欄にも「このメンバー仲良すぎ」「歌と雑談のギャップがすごい」といった嬉しい言葉が並んでいる。
「うん!めちゃくちゃ面白かったよ。真宵のトークも冴えてたし、楓くんとの掛け合いが最高すぎ」
「あはは、裏ではみんな噛みまくりで大変だったんだけどね」
友達からの生の感想は、画面越しの数字やコメントとはまた違う嬉しさがあって、胸の奥がじんわりと温かくなる。
「それで、これよ!」
美穂ちゃんが見せてくれた画面の文字に、私は目を見開いた。
数日前に投稿した歌ってみた動画の再生数が、一万を超えている!
自分達が歌って踊っている動画が、知らない誰かにも見てもらえている。
そう考えると、なんだか不思議な気持ちになった。
最初はただ、亡者をおびき寄せるためだった。
配信者になれば、同じような活動をしている亡者が見つかるかもしれない。
そんな打算から始めた活動だったはずなのに……。
(このまま超人気配信者として活動するのもありかなーなんて……)
窓から入って来た暖かい風が、前髪を揺らす。
「あ、そうだ。今日の放課後空いてる?」
すると、急に美穂ちゃんは思い出したように聞いてきた。
「うん、空いてるよ」
「良かった〜。今日部活なくて、駅前のケーキ屋さんにお茶しに行こうよ」
「え、ケーキ?行ってみたい!!」
私が目を輝かすと、美穂ちゃんはサッとスマホの画面を私に向けてきた。
そこにはオシャレなケーキ屋さんの外観と、美味しそうなケーキの写真が何枚も載っていた。
「この店、学校から結構近いんだよ。この前、テレビでも紹介されたって」
「行きたい!」
「でしょ?じゃあ決まりね」
「うん!」
どうしよう、めちゃくちゃ楽しみ!!
しかも、私の好きなケーキが何種類も……楽しみだな〜!!
放課後。
帰り支度を終えた私は、約束通りに美穂ちゃんと一緒に学校を出た。
二人でお目当てのカフェがある駅へと向かう。
「えーっと、次の信号を曲がれば着くみたいだよ」
「楽しみだね!」
「ね〜!どんなケーキ頼もっかな〜」
美穂ちゃんと二人でワイワイはしゃぎながら真っ直ぐ目指していると、後からトントンと肩を叩かれた。
振り返ると―――若い、背の高い女性が立っていた。ヒールを履いて、長い黒髪をきっちりとひとつに結んでいる。
「すみません、道をお尋ねしたいのですが」
女性は取り出した地図を見せてきた。
ここからそう遠くなかったので、一緒にその場所まで案内することになった。
ガンッ!
突然のことだった。
鈍い音がして、美穂ちゃんがドサッと地面に倒れた。
「みっ……」
美穂ちゃん!
そう叫ぼうとしたけど。
ガンッ!
頭に強い衝撃と痛み。
倒れる瞬間、女性の勝ち誇った顔が最後に見えて……。
私はフッと意識を失った。