愛に目覚めた冷徹孤高の心臓外科医は、政略結婚妻を離さない ――旦那様、この結婚は契約ですよね?
宴会場の控室。スタッフに断って、予備で用意していた花器を部屋の隅に置く。
ここに生けるのは、どれがいいだろう。色々と挿し替えながら、部屋を彩るにはどれがいいかを吟味する。
悩んだ末に私が選んだのは、アンティークピンクのマム一輪だ。
ダリアのような派手さはないけれど、この部屋自体があまり大きくない。大ぶりなマムがそこにひとつあるだけで、控室に十分な彩りを与えてくれるはずだ。
これでよし、とドアに手をかけた時、外から言い争う女性の声が聞こえてきた。なんだろうと、隙間からそちらを覗く。
「今さらなにを怖気づいているのよ、あなたはどっちの味方なの! あんな温度のない人が院長になったほうがいいっていうの!?」
そう声を荒げているのは沙久良さんだ。ペールピンクのドレスの背中越しに、困惑した顔の椿芽さんが見える。
「いい? あの病院で次期院長にふさわしいのは、どう考えても翼さんなの。なのに、理事長は手を引かない。だから、私たちが万智さんと望田先生を別れさせるしかないのよ!」
ここに生けるのは、どれがいいだろう。色々と挿し替えながら、部屋を彩るにはどれがいいかを吟味する。
悩んだ末に私が選んだのは、アンティークピンクのマム一輪だ。
ダリアのような派手さはないけれど、この部屋自体があまり大きくない。大ぶりなマムがそこにひとつあるだけで、控室に十分な彩りを与えてくれるはずだ。
これでよし、とドアに手をかけた時、外から言い争う女性の声が聞こえてきた。なんだろうと、隙間からそちらを覗く。
「今さらなにを怖気づいているのよ、あなたはどっちの味方なの! あんな温度のない人が院長になったほうがいいっていうの!?」
そう声を荒げているのは沙久良さんだ。ペールピンクのドレスの背中越しに、困惑した顔の椿芽さんが見える。
「いい? あの病院で次期院長にふさわしいのは、どう考えても翼さんなの。なのに、理事長は手を引かない。だから、私たちが万智さんと望田先生を別れさせるしかないのよ!」