愛に目覚めた冷徹孤高の心臓外科医は、政略結婚妻を離さない ――旦那様、この結婚は契約ですよね?
それは、たった今、私が心の底から求めていた声。
「瑞樹、さん……?」
信じられなくて、ついほろりと彼の名前がこぼれ落ちる。
「誰だお前、勝手に入ってくんじゃ――」
「俺の妻を、どこにやった!」
震えるほどの怒りを顕わにした声色は初めて聞くものだったが、この声は間違いなく、瑞樹さんのものだ。
「万智! ここにいるんだろう!?」
その叫びを聞いた瞬間、全身に電流が走った。
「……瑞樹さんっ!」
私は彼に応えるように、必死に大声を上げる。すると、玄関のほうで男たちが逃げ出す気配がした。
暗闇の中、こちらに駆けてくる足音とともに、微かにカモミールとベルガモットが香る。
「瑞樹、さん……」
彼の名をつぶやくと、張り詰めたなにかがぷつんと切れ、我慢していた涙があふれ出してしまった。
「万智!」
瑞樹さんは暗がりの中でもすぐに私を見つけてくれた。ソファに転がっていた私を、そっと抱き上げてくれる。
「もう大丈夫だ。あいつらは拉致だけが目的だったみたいで、丸腰だった。もうなにかをしかけてきたりはしないだろう」
必死に涙を止め、彼の声のほうをじっと見つめた。
徐々に視界が彼を捉え始める。月明かりに照らされたその顔は、今までに見たことがないほど必死で、歪んでいた。
瑞樹さんだ。それで改めて安心し、涙が再びあふれ出す。
「瑞樹、さん……?」
信じられなくて、ついほろりと彼の名前がこぼれ落ちる。
「誰だお前、勝手に入ってくんじゃ――」
「俺の妻を、どこにやった!」
震えるほどの怒りを顕わにした声色は初めて聞くものだったが、この声は間違いなく、瑞樹さんのものだ。
「万智! ここにいるんだろう!?」
その叫びを聞いた瞬間、全身に電流が走った。
「……瑞樹さんっ!」
私は彼に応えるように、必死に大声を上げる。すると、玄関のほうで男たちが逃げ出す気配がした。
暗闇の中、こちらに駆けてくる足音とともに、微かにカモミールとベルガモットが香る。
「瑞樹、さん……」
彼の名をつぶやくと、張り詰めたなにかがぷつんと切れ、我慢していた涙があふれ出してしまった。
「万智!」
瑞樹さんは暗がりの中でもすぐに私を見つけてくれた。ソファに転がっていた私を、そっと抱き上げてくれる。
「もう大丈夫だ。あいつらは拉致だけが目的だったみたいで、丸腰だった。もうなにかをしかけてきたりはしないだろう」
必死に涙を止め、彼の声のほうをじっと見つめた。
徐々に視界が彼を捉え始める。月明かりに照らされたその顔は、今までに見たことがないほど必死で、歪んでいた。
瑞樹さんだ。それで改めて安心し、涙が再びあふれ出す。