愛に目覚めた冷徹孤高の心臓外科医は、政略結婚妻を離さない ――旦那様、この結婚は契約ですよね?
『その時、大峠氏の容態が悪化。翼先生はすでに帰られた後で、僕はただ患者の救命のためにと必死に動く望田先生を見ていることしかできませんでした。望田先生の手術も見せていただきましたが、翼先生は現れなかった。先の会見は、僕の見た事実とは異なっていて――』
その時、木色先生の握っていたマイクがひょいと院長によって抜き取られた。彼はそのことに気づいて口を噤み、青ざめ震える。
『まったく、望田先生。君は若い医師を懐柔して、もしくは脅して、そんな発言をさせるなんてひどい医師だ』
院長は笑みを浮かべながらも、瑞樹さんに軽蔑の眼差しを向ける。院長は木色先生の肩に手を置き、瑞樹さんに口角を上げて見せた。
『君はますます、次期院長にふさわしくはない器だということだ』
「その医師の言ったことは本当ですよ、院長」
すぐに聞こえたその声の主は、院長でも瑞樹さんでもなかった。
はっと振り返ると、いつもにこにこと優しい笑みを浮かべている小玉先生が、厳しい目つきを院長に向けていた。
彼は登壇すると瑞樹さんの横に並び、はっきりと紡いだ。
「胆石のぶれに気づいて望田先生に相談したら、大動脈瘤の破裂前兆に望田先生が気づいた。その時、すでに副院長は帰られていたから、僕が直接望田先生に相談に行きました。ナースコールに形相を変えて、患者のもとまで走ったのは望田先生です。緊急の手術の時、副院長は手術室に一切現れなかった。あの会見は事実と異なることが述べられていて、さすがの僕でも許せないです」
彼はそこまで言うと、「邪魔をしてごめんね」と瑞樹さんにつぶやく。瑞樹さんは首を横に振ると、狼狽える院長に向かって鋭い視線を向けた。
「他にも、現場に居合わせた看護師たちがいる。口封じのために金品を配ったという証言も、すでに取れている。院長、あなた方は、自分たちがどれだけ卑劣なことをしているのか、本当にわかっているのか? 自分たちの名誉を守るためだけに、患者を、世間を欺い、真実を捻じ曲げる。それが医師として、どれほど重い罪か理解しているのか!?」
その時、木色先生の握っていたマイクがひょいと院長によって抜き取られた。彼はそのことに気づいて口を噤み、青ざめ震える。
『まったく、望田先生。君は若い医師を懐柔して、もしくは脅して、そんな発言をさせるなんてひどい医師だ』
院長は笑みを浮かべながらも、瑞樹さんに軽蔑の眼差しを向ける。院長は木色先生の肩に手を置き、瑞樹さんに口角を上げて見せた。
『君はますます、次期院長にふさわしくはない器だということだ』
「その医師の言ったことは本当ですよ、院長」
すぐに聞こえたその声の主は、院長でも瑞樹さんでもなかった。
はっと振り返ると、いつもにこにこと優しい笑みを浮かべている小玉先生が、厳しい目つきを院長に向けていた。
彼は登壇すると瑞樹さんの横に並び、はっきりと紡いだ。
「胆石のぶれに気づいて望田先生に相談したら、大動脈瘤の破裂前兆に望田先生が気づいた。その時、すでに副院長は帰られていたから、僕が直接望田先生に相談に行きました。ナースコールに形相を変えて、患者のもとまで走ったのは望田先生です。緊急の手術の時、副院長は手術室に一切現れなかった。あの会見は事実と異なることが述べられていて、さすがの僕でも許せないです」
彼はそこまで言うと、「邪魔をしてごめんね」と瑞樹さんにつぶやく。瑞樹さんは首を横に振ると、狼狽える院長に向かって鋭い視線を向けた。
「他にも、現場に居合わせた看護師たちがいる。口封じのために金品を配ったという証言も、すでに取れている。院長、あなた方は、自分たちがどれだけ卑劣なことをしているのか、本当にわかっているのか? 自分たちの名誉を守るためだけに、患者を、世間を欺い、真実を捻じ曲げる。それが医師として、どれほど重い罪か理解しているのか!?」