愛に目覚めた冷徹孤高の心臓外科医は、政略結婚妻を離さない ――旦那様、この結婚は契約ですよね?
すると院長は顔を真っ赤にして、声を荒げた。
『これまで私は、病院のために幾ばくの時間を割いてきた。少しばかり金を受け取って、手術内容を改ざんして、なにが悪い!』
院長の怒号が、スピーカーを通して会場の隅々までに響き渡る。会場がしんと静まり返った。
しばらくして、院長は顔を土色に変え、がたがたと震える手で口元を覆う。自身の失言に、やっと気づいたようだ。
私は壇上後方にいる父を見た。最初は歪んでいた父の口元が、ほんのわずかに持ち上がっているように見える。
瑞樹さんは再びマイクを奪い取り、会場内に届くように告げた。
『自分の利のために他人の命を利用する。そんな医者が、病院のトップに立っていいわけがない。誤診という自分のミスすらでっちあげた嘘で世間を欺こうとした不誠実な医者なら、なおさらだ』
瑞樹さんの断罪に、会場からは「退陣しろ!」「説明責任を果たせ!」と怒号が飛び交い始める。院長と副院長はその喧騒に紛れるように、そそくさと逃げるようにどこかへ行ってしまった。
だが、沙久良さんだけがそこに残り、大声を上げた。
「あなたは正義を気取っているかもしれないけれど、万智さんだってクロよ! 理事長の娘だって、あなたの奥さんだって汚点なの! 私は手に入れたのよ、この写真を!」
沙久良さんは、そのままなにかを上部に向かって投げた。上空から、紙がはらはらと降ってくる。
その一枚が私の前にも届き、青ざめた。これは、〝でっちあげ〟の浮気写真だ。
『これまで私は、病院のために幾ばくの時間を割いてきた。少しばかり金を受け取って、手術内容を改ざんして、なにが悪い!』
院長の怒号が、スピーカーを通して会場の隅々までに響き渡る。会場がしんと静まり返った。
しばらくして、院長は顔を土色に変え、がたがたと震える手で口元を覆う。自身の失言に、やっと気づいたようだ。
私は壇上後方にいる父を見た。最初は歪んでいた父の口元が、ほんのわずかに持ち上がっているように見える。
瑞樹さんは再びマイクを奪い取り、会場内に届くように告げた。
『自分の利のために他人の命を利用する。そんな医者が、病院のトップに立っていいわけがない。誤診という自分のミスすらでっちあげた嘘で世間を欺こうとした不誠実な医者なら、なおさらだ』
瑞樹さんの断罪に、会場からは「退陣しろ!」「説明責任を果たせ!」と怒号が飛び交い始める。院長と副院長はその喧騒に紛れるように、そそくさと逃げるようにどこかへ行ってしまった。
だが、沙久良さんだけがそこに残り、大声を上げた。
「あなたは正義を気取っているかもしれないけれど、万智さんだってクロよ! 理事長の娘だって、あなたの奥さんだって汚点なの! 私は手に入れたのよ、この写真を!」
沙久良さんは、そのままなにかを上部に向かって投げた。上空から、紙がはらはらと降ってくる。
その一枚が私の前にも届き、青ざめた。これは、〝でっちあげ〟の浮気写真だ。