愛に目覚めた冷徹孤高の心臓外科医は、政略結婚妻を離さない ――旦那様、この結婚は契約ですよね?
 AI生成だと言っていたけれど、見れば見るほど私と区別がつかない。こんなものを瑞樹さんに見られては、もう終わりだ。
 そう、思ったのに。

「これは、万智ではない」

 瑞樹さんは落ちてきた写真の一枚を拾い上げると、しごく冷静な声で言った。

「万智はまぶたの奥にほくろがある。目を閉じたら、それがはっきりとわかるはずだ」

 私は思わず自分の目尻に触れ、それから写真をよく見た。確かに、あるはずのほくろがない。だけど、まさか瑞樹さんがそんなことに気がつくなんて。
 彼が私の思っている以上に私のことを見ていてくれた、知っていてくれた。その事実に胸がぎゅうっと熱くなる。

 つい瑞樹さんを見つめていると、瑞樹さんは優しい笑みを浮かべて、こちらへ戻ってきてくれる。
 するとその背後で、沙久良さんが叫んだ。

「か、解像度がちょっと低いだけよ!」

 取り乱す沙久良さんに、瑞樹さんは振り返り、追い打ちをかけるように冷たく言い放った。

「そもそも、この背景の通りには、一年前にできたはずの店がまだない。それ自体おかしいのに、この写真のどこを信じろと?」

 なにも言えない沙久良さんに、瑞樹さんはさらに告げる。

「この写真をつくったのは、お前か?」

「ち、違うわ! たまたま拾ったのよ」

 すると瑞樹さんは、険しい顔をして写真を見た。

「へえ、趣味の悪いことをする人がいるものだ」

 手にしていた写真を破り捨てると、彼はそのまま私の腰を抱き、沙久良さんにごみを見るような目を向ける。

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