愛に目覚めた冷徹孤高の心臓外科医は、政略結婚妻を離さない ――旦那様、この結婚は契約ですよね?
大騒ぎとなったパーティーはそのままお開きとなり、私は瑞樹さんとともに会場の出入り口で帰宅する招待客ひとりひとりにお詫びをしていた。
それがもう終わりに差しかかった時、会場から出てきた人物が彼の名を静かに呼んだ。
「瑞樹」
望田製薬の社長――瑞樹さんの、お父様だ。
瑞樹さんは顔をわずかにこわばらせ、私の腰を抱く手に力をこめる。私は急いで頭を下げようとしたが、お父様に制されてしまった。
「ふたりとも、そんな顔をしないでくれ。少し、話をしないか?」
宴会場の控室を使用したい旨をスタッフに伝え、瑞樹さんのお父様を案内する。
向かい合うように椅子をセッティングしてくれたスタッフに頭を下げると、瑞樹さんのお父様はすぐにそこに腰かける。私たちもそこに座ると、すぐにお父様は切り出した。
「パーティーでの一連の様子を見させてもらった。瑞樹、院長になるんだな」
「今さら、関係ないだろう」
瑞樹さんは居心地悪そうだが、お父様はそれを気にせず淡々と続ける。
「俺は自分のところから離れた瑞樹を、ただ言いなりになりたくないだけだと思っていた。だが、お前はお前なりに、誇りを持っていたんだな」
「俺は父さんとは違うんだ」
瑞樹さんはすぐに反論する。その語気の強さに私は思わず息をのんだが、お父様はふっと優しい吐息をもらした。
「私はあの日、自分の意に従わず外科医の道に進んだお前を軽蔑していた。だが、お前の活躍はたびたび目にしていた。そして今回、院長になった。もう、一人前の男だと認めざるを得ないだろう」
私は思わず目をしばたたいた。瑞樹さんが次期院長を狙っていたのは、お父様に認めてもらうためだったのだと、思い知ったのだ。
すると、瑞樹さんは私の肩をぐっと抱き寄せる。どきりとしたが、瑞樹さんはお父様に向かって淡々と告げた。
それがもう終わりに差しかかった時、会場から出てきた人物が彼の名を静かに呼んだ。
「瑞樹」
望田製薬の社長――瑞樹さんの、お父様だ。
瑞樹さんは顔をわずかにこわばらせ、私の腰を抱く手に力をこめる。私は急いで頭を下げようとしたが、お父様に制されてしまった。
「ふたりとも、そんな顔をしないでくれ。少し、話をしないか?」
宴会場の控室を使用したい旨をスタッフに伝え、瑞樹さんのお父様を案内する。
向かい合うように椅子をセッティングしてくれたスタッフに頭を下げると、瑞樹さんのお父様はすぐにそこに腰かける。私たちもそこに座ると、すぐにお父様は切り出した。
「パーティーでの一連の様子を見させてもらった。瑞樹、院長になるんだな」
「今さら、関係ないだろう」
瑞樹さんは居心地悪そうだが、お父様はそれを気にせず淡々と続ける。
「俺は自分のところから離れた瑞樹を、ただ言いなりになりたくないだけだと思っていた。だが、お前はお前なりに、誇りを持っていたんだな」
「俺は父さんとは違うんだ」
瑞樹さんはすぐに反論する。その語気の強さに私は思わず息をのんだが、お父様はふっと優しい吐息をもらした。
「私はあの日、自分の意に従わず外科医の道に進んだお前を軽蔑していた。だが、お前の活躍はたびたび目にしていた。そして今回、院長になった。もう、一人前の男だと認めざるを得ないだろう」
私は思わず目をしばたたいた。瑞樹さんが次期院長を狙っていたのは、お父様に認めてもらうためだったのだと、思い知ったのだ。
すると、瑞樹さんは私の肩をぐっと抱き寄せる。どきりとしたが、瑞樹さんはお父様に向かって淡々と告げた。