愛に目覚めた冷徹孤高の心臓外科医は、政略結婚妻を離さない ――旦那様、この結婚は契約ですよね?
「あら、まだ万智さんいらっしゃってないの?」
沙久良がそう言って、くすりと笑った。だが、その控室にも先ほどと同じ菊の花があるのを見て、万智はここにも来たのだと悟った。
「……探してきます」
沙久良の不気味な笑みを無視し、俺は早足で部屋を後にした。
胸騒ぎを必死に抑えながら歩いていると、足元の絨毯に落ちている鮮やかなブルーが目に留まった。絨毯の色に溶け込みそうなそれは、イヤリングだ。
慌てて拾い上げる。万智のもので、間違いない。
そう確信した瞬間、どくり、どくりと心臓が嫌な音になる。万智はいったい、どこに行ってしまったんだ。
イヤリングを握りしめ、俺はなりふり構わず会場を駆け回った。何度も万智のスマホを鳴らすが、虚しくコール音が響くだけだ。
どうして、出てくれないんだ……!
通りかかるスタッフを捕まえ、片っ端から彼女の行方を問いただす。だが、誰も「見ていない」「知らない」と首を振るばかりだ。
最悪の事態が脳裏をよぎり、呼吸が浅くなる。その時、青ざめた顔の椿芽さんが俺の前に現れた。
「望田先生……私、とんでもないことをしてしましました」
彼女は沙久良の言いなりになって万智を追い詰めていた謝罪、先ほどの会見での違和感などを俺にぽつぽつと話し出す。だが、そんなことは今の俺にはどうでもよかった。
「万智はどこだ。彼女がどこにいるのか、知っているなら教えてくれ!」
詰め寄る俺の気迫に、彼女は震えながらも鴎川の別荘の場所を口にした。
「ありがとう」
俺はそれだけ言うと、泣き崩れる彼女を置いて駐車場へと走った。
沙久良がそう言って、くすりと笑った。だが、その控室にも先ほどと同じ菊の花があるのを見て、万智はここにも来たのだと悟った。
「……探してきます」
沙久良の不気味な笑みを無視し、俺は早足で部屋を後にした。
胸騒ぎを必死に抑えながら歩いていると、足元の絨毯に落ちている鮮やかなブルーが目に留まった。絨毯の色に溶け込みそうなそれは、イヤリングだ。
慌てて拾い上げる。万智のもので、間違いない。
そう確信した瞬間、どくり、どくりと心臓が嫌な音になる。万智はいったい、どこに行ってしまったんだ。
イヤリングを握りしめ、俺はなりふり構わず会場を駆け回った。何度も万智のスマホを鳴らすが、虚しくコール音が響くだけだ。
どうして、出てくれないんだ……!
通りかかるスタッフを捕まえ、片っ端から彼女の行方を問いただす。だが、誰も「見ていない」「知らない」と首を振るばかりだ。
最悪の事態が脳裏をよぎり、呼吸が浅くなる。その時、青ざめた顔の椿芽さんが俺の前に現れた。
「望田先生……私、とんでもないことをしてしましました」
彼女は沙久良の言いなりになって万智を追い詰めていた謝罪、先ほどの会見での違和感などを俺にぽつぽつと話し出す。だが、そんなことは今の俺にはどうでもよかった。
「万智はどこだ。彼女がどこにいるのか、知っているなら教えてくれ!」
詰め寄る俺の気迫に、彼女は震えながらも鴎川の別荘の場所を口にした。
「ありがとう」
俺はそれだけ言うと、泣き崩れる彼女を置いて駐車場へと走った。