愛に目覚めた冷徹孤高の心臓外科医は、政略結婚妻を離さない ――旦那様、この結婚は契約ですよね?
理事長室の扉をノックすると、中から返答があった。父は在室しており、花のことを話すとすぐに許可をくれた。
花器に、ダリアを一輪生ける。ダリアは花弁が多く、それだけで存在感がある。本来は一輪挿しでも、十分に美しい。
父は机に向かい、なにかの入力をしていた。
「お父様、VIPフロアに入院していらっしゃる、トキさんという方なのですが――」
すると父が、パソコンの画面からこちらに視線を上げる。
「優しい方ですね。お花の手入れをしていたら、話しかけてくださいました」
なんとなく照れくさくなり、視線を逸らす。すると、いつも通りの父の厳格な声が飛んできた。
「妻としての努めは、しっかり果たせているようだな」
その言葉に、はっとする。
そうだ。私の務めは、瑞樹さんの妻として彼を次期院長候補に押し上げること。花を生ける喜びに押されてしまったが、それだけは履き違えてはいけない。
今日もいつも通りに瑞樹さんが帰宅する。私は玄関先で彼を出迎えると、いつものようにダイニングに夕飯を並べた。
「これ、どうしたんだ?」
瑞樹さんがふと、リビングのテーブルを見て言った。どうやら、私のつくったフラワーアレンジメントを見つけたらしい。
「今日、病院のお花を整えたんですけれど、余ってしまって。まだ綺麗に咲いているし、捨ててしまうにはもったいないなあと思って」
私は病院から帰宅後、花屋に行き次に生けるお花を注文してきた。そのついでに、フラワーアレンジの勉強にと、ボックス型の花器と少しの花材を購入した。
今日のような花たちは、どうしたら品よくまとめられるだろう。アレンジメントの出来上がりをイメージしながら、お花を選ぶ。手元に残った花たちは白いものが多かったので、グリーンやブルーの小花を数本選び、帰宅してから残った花たちとともに箱型の花器に挿し、そこに置いたのだ。
花器に、ダリアを一輪生ける。ダリアは花弁が多く、それだけで存在感がある。本来は一輪挿しでも、十分に美しい。
父は机に向かい、なにかの入力をしていた。
「お父様、VIPフロアに入院していらっしゃる、トキさんという方なのですが――」
すると父が、パソコンの画面からこちらに視線を上げる。
「優しい方ですね。お花の手入れをしていたら、話しかけてくださいました」
なんとなく照れくさくなり、視線を逸らす。すると、いつも通りの父の厳格な声が飛んできた。
「妻としての努めは、しっかり果たせているようだな」
その言葉に、はっとする。
そうだ。私の務めは、瑞樹さんの妻として彼を次期院長候補に押し上げること。花を生ける喜びに押されてしまったが、それだけは履き違えてはいけない。
今日もいつも通りに瑞樹さんが帰宅する。私は玄関先で彼を出迎えると、いつものようにダイニングに夕飯を並べた。
「これ、どうしたんだ?」
瑞樹さんがふと、リビングのテーブルを見て言った。どうやら、私のつくったフラワーアレンジメントを見つけたらしい。
「今日、病院のお花を整えたんですけれど、余ってしまって。まだ綺麗に咲いているし、捨ててしまうにはもったいないなあと思って」
私は病院から帰宅後、花屋に行き次に生けるお花を注文してきた。そのついでに、フラワーアレンジの勉強にと、ボックス型の花器と少しの花材を購入した。
今日のような花たちは、どうしたら品よくまとめられるだろう。アレンジメントの出来上がりをイメージしながら、お花を選ぶ。手元に残った花たちは白いものが多かったので、グリーンやブルーの小花を数本選び、帰宅してから残った花たちとともに箱型の花器に挿し、そこに置いたのだ。