愛に目覚めた冷徹孤高の心臓外科医は、政略結婚妻を離さない ――旦那様、この結婚は契約ですよね?
アナウンサーの解説が終わり、画面は会見の様子に戻る。ワイプに移ったコメンテーターが、会見の様子を振り返っていた。
「担当医はすごいお医者さんなんでしょうけれど、なんだかちょっと怖いですね」
この会見映像を見た全員のコメントを代弁したような発言に、スタジオ内で苦笑いが巻き起こる。私もつい、苦笑をこぼしてしまった。
瑞樹さんは会見の中でも表情を変えない。手術の過程を淡々と説明しただけで、それ以降は椅子に座ってじっとしていただけだ。院長の柔和な笑みがなければ、会見場は凍りついていただろう。
対照的なふたりの様子は、父の病院を二分している様子そのもの。改めて、私はこの政略結婚に込められた父からのメッセージを突きつけられた気がした。
光前寺病院内は現在、院長派と理事長派に揺れている。しかし、厳格な運営体制を守る父・理事長よりも、フランクで働きやすい環境づくりを重視する院長のほうが医者や看護師などの支持率が圧倒的に高い。人当たりがよく朗らかな人柄も、彼が人気の理由のひとつなのだろう。
理事長派は経営幹部が多いが、現場を無視できない父は院長派とのやりとりに慎重にならざるを得ないようだ。
瑞樹さんが次期院長ではなく次期院長〝候補〟である理由もそこにある。
院長には娘婿がおり、彼は現在、光前寺総合病院の副院長を務めている。本来なら彼が次期院長に一番近い場所にいたはずなのだが、父は私に瑞樹さんと婚姻関係を結ばせて、強引に〝次期院長候補〟に割り込ませた。
そういう経緯もあり、瑞樹さんは次期院長候補としては、圧倒的に不利な立場にいる。
だからこそ、私のしなければならないことはひとつ。彼が次期院長候補になれるよう、彼を支え、尽くすことだ。
「担当医はすごいお医者さんなんでしょうけれど、なんだかちょっと怖いですね」
この会見映像を見た全員のコメントを代弁したような発言に、スタジオ内で苦笑いが巻き起こる。私もつい、苦笑をこぼしてしまった。
瑞樹さんは会見の中でも表情を変えない。手術の過程を淡々と説明しただけで、それ以降は椅子に座ってじっとしていただけだ。院長の柔和な笑みがなければ、会見場は凍りついていただろう。
対照的なふたりの様子は、父の病院を二分している様子そのもの。改めて、私はこの政略結婚に込められた父からのメッセージを突きつけられた気がした。
光前寺病院内は現在、院長派と理事長派に揺れている。しかし、厳格な運営体制を守る父・理事長よりも、フランクで働きやすい環境づくりを重視する院長のほうが医者や看護師などの支持率が圧倒的に高い。人当たりがよく朗らかな人柄も、彼が人気の理由のひとつなのだろう。
理事長派は経営幹部が多いが、現場を無視できない父は院長派とのやりとりに慎重にならざるを得ないようだ。
瑞樹さんが次期院長ではなく次期院長〝候補〟である理由もそこにある。
院長には娘婿がおり、彼は現在、光前寺総合病院の副院長を務めている。本来なら彼が次期院長に一番近い場所にいたはずなのだが、父は私に瑞樹さんと婚姻関係を結ばせて、強引に〝次期院長候補〟に割り込ませた。
そういう経緯もあり、瑞樹さんは次期院長候補としては、圧倒的に不利な立場にいる。
だからこそ、私のしなければならないことはひとつ。彼が次期院長候補になれるよう、彼を支え、尽くすことだ。