愛に目覚めた冷徹孤高の心臓外科医は、政略結婚妻を離さない ――旦那様、この結婚は契約ですよね?
気にしないようにしたいけれど、花のことにはどうしても体が反応してしまう。紅茶を注ぐのに集中しようとしたが、今度はどうしても彼女の背中が視界に入ってしまった。
「思ったよりも狭いのね。みなさんも、そう思わない? この広さなら、普通は階下の多目的室とかを予約するわよね?」
沙久良さんはリビングを見回す。カップをトレーにのせたものの、私はそこから二の足を踏んでしまった。
「椿芽さんだって、そのくらいの気が利くわよねえ。このレジデンスに住んでらっしゃるんだもの」
「ええ、そうですね」
椿芽さんは肩をすくめながらも、にこっと微笑みそう答える。それに満足したのか、沙久良さんが不意にこちらを振り向いた。
「ねえ、ホストのあなたがこっちにいてくれないと、どうしていいのかわからないわ」
「すみません、今すぐ」
私はトレーを手に、慌ててリビングへと向かい、彼女の前にカップを差し出した。だが、沙久良さんはそれを手に取ろうともせず、急に立ち上がる。
「もしかして、狭いのってこのリビングだけだったりするのかしら? 他のお部屋も見てみたいわ。万智さん、案内してくださらない?」
向けられた上目づかいにぞっとしたが、私は凛として返した。
「すみません、今日は瑞樹さんも不在ですし、プライベートのこともございますので」
ウェルネススペースや書斎など、瑞樹さんのためのスペースがたくさんある。それを、勝手に他人にどうぞ見てくださいと、私に言うことはできない。
「はあ、もう、なんのためにあのエレベーターを上らせたのよ。役立たず」
沙久良さんは大きなため息とともに悪態をつく。それがリビング内に響き、有明会はなんとも言えない雰囲気になってしまった。
「もういいわ、止めましょうこんなパーティー。私の家のほうが断然いいもの。ねえ、みなさん?」
「思ったよりも狭いのね。みなさんも、そう思わない? この広さなら、普通は階下の多目的室とかを予約するわよね?」
沙久良さんはリビングを見回す。カップをトレーにのせたものの、私はそこから二の足を踏んでしまった。
「椿芽さんだって、そのくらいの気が利くわよねえ。このレジデンスに住んでらっしゃるんだもの」
「ええ、そうですね」
椿芽さんは肩をすくめながらも、にこっと微笑みそう答える。それに満足したのか、沙久良さんが不意にこちらを振り向いた。
「ねえ、ホストのあなたがこっちにいてくれないと、どうしていいのかわからないわ」
「すみません、今すぐ」
私はトレーを手に、慌ててリビングへと向かい、彼女の前にカップを差し出した。だが、沙久良さんはそれを手に取ろうともせず、急に立ち上がる。
「もしかして、狭いのってこのリビングだけだったりするのかしら? 他のお部屋も見てみたいわ。万智さん、案内してくださらない?」
向けられた上目づかいにぞっとしたが、私は凛として返した。
「すみません、今日は瑞樹さんも不在ですし、プライベートのこともございますので」
ウェルネススペースや書斎など、瑞樹さんのためのスペースがたくさんある。それを、勝手に他人にどうぞ見てくださいと、私に言うことはできない。
「はあ、もう、なんのためにあのエレベーターを上らせたのよ。役立たず」
沙久良さんは大きなため息とともに悪態をつく。それがリビング内に響き、有明会はなんとも言えない雰囲気になってしまった。
「もういいわ、止めましょうこんなパーティー。私の家のほうが断然いいもの。ねえ、みなさん?」