愛に目覚めた冷徹孤高の心臓外科医は、政略結婚妻を離さない ――旦那様、この結婚は契約ですよね?
やがて話し合いが終わり、有明会は情報交換という名の談笑に入る。私はここで帰るわけにはいかないと、奥様方の輪に入って話に相槌を打った。
だが、みなが嫌な顔を私に向ける。それでも気持ちを奮い立たせ、彼女たちに笑みを返す。
そんなことを続けている、最中だった。
「万智」
リビングの入り口から聞こえた、よく知った声。すぐにはっと振り返る。なぜかそこに、瑞樹さんが立っていた。
「瑞樹さん、なんで……」
彼は学会で京都にいるはずだ。帰りは夜になると聞いていた。今はまだ、日も沈んでいない。
ついつぶやいたが瑞樹さんには届いてないようで、彼は真っ直ぐにこちらにやってくる。そのまま私の横で立ち止まると、瑞樹さんは私の肩に手を置いた。
向けられた柔らかい表情に胸が跳ねてしまったが、彼はすぐに表情を硬くし沙久良さんを振り向く。
「あら、望田先生。万智さんのお迎えに上がったのかもしれないけれど、まだ有明会はお開きになっていないわ」
沙久良さんは彼の視線に怯む様子もなく、不敵な笑みを浮かべて続ける。
「大切な奥様を迎えにきた旦那、と印象づけたかったのかもしれませんけれど、こういう時は外で待っているのがマナーではないのかしら? 望田先生、そういうところよ」
まるで〝次期院長には向いていない〟と言いたげな言葉に、瑞樹さんは不快そうに顔を歪めた。
だが、みなが嫌な顔を私に向ける。それでも気持ちを奮い立たせ、彼女たちに笑みを返す。
そんなことを続けている、最中だった。
「万智」
リビングの入り口から聞こえた、よく知った声。すぐにはっと振り返る。なぜかそこに、瑞樹さんが立っていた。
「瑞樹さん、なんで……」
彼は学会で京都にいるはずだ。帰りは夜になると聞いていた。今はまだ、日も沈んでいない。
ついつぶやいたが瑞樹さんには届いてないようで、彼は真っ直ぐにこちらにやってくる。そのまま私の横で立ち止まると、瑞樹さんは私の肩に手を置いた。
向けられた柔らかい表情に胸が跳ねてしまったが、彼はすぐに表情を硬くし沙久良さんを振り向く。
「あら、望田先生。万智さんのお迎えに上がったのかもしれないけれど、まだ有明会はお開きになっていないわ」
沙久良さんは彼の視線に怯む様子もなく、不敵な笑みを浮かべて続ける。
「大切な奥様を迎えにきた旦那、と印象づけたかったのかもしれませんけれど、こういう時は外で待っているのがマナーではないのかしら? 望田先生、そういうところよ」
まるで〝次期院長には向いていない〟と言いたげな言葉に、瑞樹さんは不快そうに顔を歪めた。