愛に目覚めた冷徹孤高の心臓外科医は、政略結婚妻を離さない ――旦那様、この結婚は契約ですよね?
私は努めて淡々と、彼に向かって告げた。
「お役に立ててよかったです。リビング、急いで片づけますね」
踵を返し、リビングへ向かおうとすると、なぜか瑞樹さんが私の肩に手を置いた。
ぴくりと体が震え、思わず彼を振り返る。
「片づけ、俺も一緒にやらせてくれ」
「でも、これは私の――」
言いかけた言葉は、彼にかき消されてしまった。
「万智のせいではないし、ひとりでは大変だろう」
淡々とした、感情のわからない口調。それでも、私は喉のあたりがそわそわとして、なにかがこみ上げてくるのを感じた。
なんとも言い難い感情に、つい彼を見つめてしまう。すると、瑞樹さんの目元がふっと和らぐ。
私は動揺を隠すようにリビングのほうを向き直り、彼に告げた。
「ありがとうございます」
リビングに入ると、悲惨な光景が目に入る。改めて、ひどい有様だ。それに自責の念を感じ、つい肩を落とした。
だが、ぼうっとしていてもなにも始まらない。片づけなければと、さっそくテーブルへ。しかしその前で、思わず足を止めてしまった。
「お花……」
鴎川邸に向かう前に、床にひっくり返されてしまったアレンジメント。それが、テーブルの上に戻っていたのだ。
「お役に立ててよかったです。リビング、急いで片づけますね」
踵を返し、リビングへ向かおうとすると、なぜか瑞樹さんが私の肩に手を置いた。
ぴくりと体が震え、思わず彼を振り返る。
「片づけ、俺も一緒にやらせてくれ」
「でも、これは私の――」
言いかけた言葉は、彼にかき消されてしまった。
「万智のせいではないし、ひとりでは大変だろう」
淡々とした、感情のわからない口調。それでも、私は喉のあたりがそわそわとして、なにかがこみ上げてくるのを感じた。
なんとも言い難い感情に、つい彼を見つめてしまう。すると、瑞樹さんの目元がふっと和らぐ。
私は動揺を隠すようにリビングのほうを向き直り、彼に告げた。
「ありがとうございます」
リビングに入ると、悲惨な光景が目に入る。改めて、ひどい有様だ。それに自責の念を感じ、つい肩を落とした。
だが、ぼうっとしていてもなにも始まらない。片づけなければと、さっそくテーブルへ。しかしその前で、思わず足を止めてしまった。
「お花……」
鴎川邸に向かう前に、床にひっくり返されてしまったアレンジメント。それが、テーブルの上に戻っていたのだ。