ポンコツ御曹司の初恋は…
「五月、今日は外のランチ行こ」
社食じゃなくてお外とは。
何か言いたいことか聞きたいことがあるんだろうけど、なんの事か想像が付かない。

会社から少し離れた定食屋さん。
テーブルに着くなり、乗り出して聞いてきた。
「五月、鈴木堅太郎と付き合ってたんだよね」
話してなかったけど、さすが同期、バレてたんだ。
「いつ報告をしてくれるのかと思って待ってたのに、昨日のあれなに!」
なにと言われても、私は...。
「白石はとんでもないけど、鈴木もバカじゃない。五月は早く分かって良かったんだよ」
一緒に怒ってくれる同期はありがたい。
「でも五月、落ち込んでるどころか、なんか幸せそう。何かあった?」
まずい。私ってそんなに分かりやすいの。
「まだ週初めだし…、私は良いけど五月は飲みに行かないでしょ。週末の予定、空けといて」
まだ話すことは出来ないし、なんかややこしくなってきたなぁ。
小鉢の里芋をつつきながら考えてた。

「ねぇねぇ、あそこにいるの本部長の秘書の柏原さんじゃない? 会社の人はあまり来ない店だけど…、なんかこっちを見てるみたい」
満面の笑顔で挨拶をしている薫を見て、とりあえず私はどんな人か知らないけど会釈だけしておいた。
あれ? どこかであったような顔なんだけど…、思い出せない、誰だっけ?
向こうは微笑んでこっちを見てるけど、あの笑顔は社交辞令に違いない。

一時間の休憩なんてあっという間。
午後からの就業時間になっても、相変わらず美玖ちゃんは戻ってきてない。

騒がしいと思ったら、秘書課の柏原さんがやってきた。
うちの課長に用があったみたいで珍しく一人でやってきて話をしている。
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