ポンコツ御曹司の初恋は…
金曜日の退社後、薫と一緒に予約してくれたお店に行った。
駅近で半個室、名前を聞いても分からない料理が多いメニュー、こんなお店が人気なんだ。

少し早く着いたけど、すぐに柏原君の姿が見えた。

「俊輔とめし食うのに、こんな店じゃなくっていつもの店で良かったのに…」
えっ、友達連れてくからって、司さんなの?
お互い目があって固まってしまった。
隣で薫も緊張している。

「ごめんね、待たせちゃって。良い店だね、駅近ですぐに分かったよ」
ニコニコしている柏原君。
何かたくらんではいませんか?

「お疲れ様です」
薫が立って挨拶している。
そりゃそうなるよね。
「薫ちゃん? はじめまして。今日は誘ってくれてありがとう」
楽しそうな柏原君に対して、無愛想な司さんはペコリと頭を下げて席に着いた。

「料理は決まってる?」
薫は司さんとは目を合わさないように、柏原君に「まだ決まってなくって、これから…」と、緊張は隠せない。

「ならまずは飲み物だけ先に頼もうか」
一人楽しそうな柏原君はメニューを広げた。
「俺と司はビールで、二人は?」
こっちにメニューを向けてくれたけど、薫はさっさと「私はレモンサワーで、五月は…カシオレで良い?」
さっさと決めてしまう。
私と司さんはまだ一言も喋ってない。
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