ポンコツ御曹司の初恋は…
店を出て、柏原君が薫を送って行くと言ってさっさとタクシーに乗っていってしまった。
そして、あっという間に二人きりになってしまった。
好きになる前に、もう終わりにしようと思ってたからちょうど良いか。
さっさと話して終わりにしよう。

今まで黙ってた司さんが、ぽつりと話し出した。
「どうして無かったことにするの?」
そんなこと司さんが一番よく知ってるくせに。
「俺、なんかやらかした?」
なんかどころじゃない。
全部!
同じ会社で御曹司、愛人にしておいて、しかも一途に思い続けている人がいるんでしょ。
「本部長だったって知らなかったし、それに…」
愛人なんて、自分の口から言いたくない。
今結婚は考えられないとしても、愛人なんて絶対いやだ。

「私、司さんの考えてることが分かりません」
どうして大切な人がいるのに愛人を作ろうとするのか。
それが当たり前の世界だとしたら、私はそんな世界入りたくない。

「まだ終電有りますから、失礼します」
速足で駅に向かったけど、司さんは何も言わず追いかけてもこなかった。

やっぱり、それだけの関係なんだ。
好きにならなくて良かった。
良かったのに、涙はなぜか止まらなかった。

毎週末、いろんなことが起こるから、土日は休んだ気がしない。
疲れがたまったまま月曜日、また厄介な事がやってきた。
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