ポンコツ御曹司の初恋は…
朝から課長が皆に言った。
「今日から新しく、補助に入ってもらうことになった、櫻木華さん」
そして、彼女に気遣ってか、「一言、自己紹介してもらえますか?」って、なぜか敬語?
「櫻木華です。皆さんと一緒に会社のこと少しでも学んでいきたいと思ってます。どうかよろしくお願いします」
会社のことを学んで?
この前からいってるけど、いったい彼女は何者なのか?
その事は、昼休みに薫から聞かされた。

昼休み、櫻木さんを誘うべきか迷っていたけど、さっさと一人で出ていった。
「五月、ランチ行こ」
薫がやってきた。
この雰囲気、社食じゃないな。
バッグを持って立ち上がった。

「ねぇ、あの櫻木さんって子。どう?」
どうと言われても。
「彼女、本部長の婚約者らしいよ」
この前薫から婚約者がいるらしいとは聞いてたし、課長のあの感じ、たぶんとは思ったけど、会ってみるとやっぱり気になる。
先週、はっきり断っておいて良かった。

お店選びを間違えた。
司さん達が入ってきた。
「司さん、待ってくださいよ」
あの声、櫻木さんだ。
「秘書じゃなくても、お昼くらい一緒でも良いじゃないですか」
二人に遅れて櫻木さんも入ってきた。

「あれ? 瀬戸じゃん。薫ちゃん達もいたんだ。相席しても良い?」
ここは四人掛けの席ですけど。
「司、良いよな」
司さんは何も言わずに私の隣に腰かけてきた。
私は悪くないよね?
櫻木さんは睨み付けて店を出ていった。

なんか不味くない?
午後からの仕事がやりづらくなってきた。
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