ポンコツ御曹司の初恋は…
帰国してすぐに会社に顔を出した。
そこでまさか五月の別れの修羅場に遭遇するとは思わなかった。
最低のヤツじゃん。
俺ならもっと大切にする。

ホテルのラウンジで会ったのはホントに偶然だった。
確かに、五月がたまに来ているという情報はあったけれど。
もう結婚を考えてる相手がいるらしいと聞いていたから、諦めるための思い出作り、最後のつもりであの店に行くつもりだった。
昨日まで、別れるなんて考えてもみなかったから。

でも別れたならちょうど良い。
こんなチャンス、逃がすわけにはいかない。
調子にのってダメもとで誘ってみた、『パートナーになって欲しい』と。
気が早いと思われるだろうがそんなの関係ない。弱ってるのに付け込んで生涯のパートナーにとプロポーズをしたらまさかと思ったけど受けてくれた。
こんな調子の良い話しはやっぱり上手く行くはずがなかった。
ただ、何が悪かったんだろう。
先走りすぎたのは良くなかったんだろうけど、それだけではなさそうな気がする。

「司、変な噂が社内で流れてるぞ。櫻木華がおまえの婚約者だと触れ回ってるらしい。たぶん瀬戸の耳にも入ってるぞ」
はぁ?
爺さんが余計なことをしたばかりに、上手くいくはずがややこしくなっている。
「それに…」

「俊輔のことも、任しとけ。おまえも小学校の時から思いつづけてるらしいなぁ。まったくおまえも、もっとグイグイいかんと」
俊輔が小学校の時から?
すると言いにくそうに、「おれの相手が瀬戸らしい…」
はぁ?
どうしてそうなる?
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