陰日向に咲く儚花
ドラッグストア内の売場を回り、初めて手にする妊娠検査薬。
わたしたちはドキドキしながら妊娠検査薬を購入して帰宅した。
そして帰宅してから、早速検査をしてみる事にしたわたしは、慈に「いってきます。」と告げ、「行ってらっしゃい。」と慈に見守られながら自宅のトイレに籠った。
初めて使う妊娠検査薬に、ドキドキしながら説明書を読む。
それから、いざ検査をしてみるわたし。
平行になるように、壁についた小さな棚の上に妊娠検査薬を置き、自分の手を握り締めながらわたしは結果を待った。
すると、そこに浮かび上がってきたのは、陽性を表す一本の縦線。
(あっ、陽性?これって、陽性って事だよね?!)
今すぐにでも叫びたい程の気持ちの高ぶりを抑えたまま、わたしがトイレから出ると、すぐトイレの目の前には慈が待機をしており、わたしの口から発表される結果を一刻も早く聞きたいといった様子だった。
わたしは一呼吸おいてから、慈の目の前に妊娠検査薬を出して見せた。
慈は目を見開きながら検査薬を見つめたが、見方がイマイチ分からない様子で「えっ?!これは、どっちなの?!」と力強い口調で訊いてきた。
そして、そんな慈にわたしはこう伝えたのだ。
「赤ちゃん、できたみたい。」
その瞬間に慈は瞳を潤ませ、わたしを抱き寄せた。
慈は、言葉が出ないといった様子で強くわたしを抱き締めた後、一度腕を緩めて「えっ、本当に?陽性だったって事だよね?俺、パパになれるの?」と言った。
その慈の言葉にわたしも視界が歪み、涙が溢れ出してくる。
慈は、もっと身体で喜びを表現するだろうと思っていた。
大声で「やったぁ!」とか言うのだろうと勝手に予想していたのだが、実際の慈は嬉しさで涙を滲ませ、胸の内で喜びを感じながら「俺、パパになれるの?」と言ったのだ。
俺、パパになれるの?――――
慈のその言葉がわたしの中ではジーンときてしまい、嬉し涙に変わり、わたしは「うん、わたしたちパパとママになれるよ。」と答え、そしてわたしたちは涙を流しながら、抱き合い喜びを分かち合ったのだった。