陰日向に咲く儚花
そして、正期産の37週に入ってすぐの夜中。
わたしはお腹の痛みで目が覚めた。
しかし、お腹が張って痛い事はよくある事なので、気にせず二度寝しようとした。
(ん〜···痛くて寝れない。)
痛みで眠れなかった為、何となくだがお腹の張りの間隔を測ってみる事にしたわたし。
すると、間隔はきっちり10分間隔だった。
わたしは隣に寝ていた慈に「ねぇ、慈。陣痛きたかも!」と声を掛け、慈を起こした。
慈は「えっ、ま、まじ?!ついにきた?!」と動揺しながら飛び起きていた。
「今10分間隔。」
「えっ!それなら病院に電話した方が良くない?!」
「うん、今電話する。」
「俺、すぐに出れるように準備するわ!」
それからわたしが病院に電話をすると、病院からは「入院準備をして、すぐに来てください。」と言われた為、わたしは慈が運転する車ですぐに病院へと向かった。
まだ夜明け前で暗い病院へは、インターホンを押して中へ入れてもらい、すぐに診察となった。
すると、既に子宮口が5センチ開いていたようで、わたしは陣痛室ではなくそのままLDRへと通され、着替えや点滴などの処置をしてもらった。
次第に強くなっていく陣痛の痛みにわたしが表情を歪めると、慈はわたしの腰の少し下あたりを押してくれた。
痛みで息を止めてしまいそうになったが、わたしは赤ちゃんに酸素を送る為に深呼吸をする努力をした。
夜が明け、明るくなってからも強まっていく陣痛。
あまりの痛さに呼吸が乱れてしまいそうになる程だ。
朝ご飯が運ばれて来たが、食欲がなくあまり食べられず、慈に代わりに食べてもらおうと思ったが、慈は「菫が痛みに耐えてる横で俺だけ食べれないよぉ。」と言いながら、わたしの腰を擦り続けてくれた。
そして、本格的な出産準備が始まったのは午前10時頃。
破水をして、とうとう子宮口が全開になったようだ。
助産師さんや看護師さんたちが慌ただしく準備を始め、産科の先生や小児科の先生にも連絡をしているようだった。
そんな慌ただしい中でも容赦無くやってくる陣痛。
慈はわたしの右側に立ち、しっかりとわたしの手を握り締めてくれた。