陰日向に咲く儚花
そんなある日、日向主任から「良い写真、仕入れたよ。」と連絡が入った。
その文章の下には画像が表示されており、よく見てみると、その画像は竜介と沙瑛さんが腕を組みながらラブホテルへ入って行く瞬間の写真だった。
(凄い、これ日向主任が撮ってくれたのかな?)
そんな写真を見ても、嫉妬心もなければ怒りすら湧き上がってこない。
わたしはやはり、微塵も竜介に気持ちは残っていないのだ。
愛情は勿論、情すら無くなってしまっていた。
竜介の不貞行為の証拠を集め始めて一ヵ月が経った頃、橋口さんのお子さんが体調不良の為に橋口さんはお休みになり、急遽わたしが橋口さんの代わりに9時からの出勤となった。
9時からの出勤は久しぶりでとても新鮮だった。
わたしはレジ対応をしながら、レジカウンターで売場に出す"七夕まつり"の商品の準備をしていた。
毎年6月が近付くと、"七夕まつり"の売場を出すようにしている。
笹の葉を用意し、子どもたちが自由に短冊を書いて飾れるようにしたり、自宅でも簡単に七夕が出来るような"七夕セット"や飾り付けようのおりがみの陳列なんかもするのだ。
わたしは短冊用に画用紙を切りながら、レジ対応をして過ごし、平川さんにレジを交代してもらってからは、売場に出て"エンド"と呼ばれる通路側の目に付きやすい棚に"七夕まつり"の売場作りをしていった。
それからわたしは、"七夕まつり"のあとにやってくる"縁日"の売場に並べる商品の把握をする為に売場をどう作るか考えながら指示書を読み込んでいた。
"縁日"では、水鉄砲、シャボン玉セット、的あてセットや輪投げセットなど、自宅で縁日が出来るような商品を販売する他、自宅で出来る綿あめ機やたこ焼き器も一緒に並べる予定だ。
毎月何かしらやってくるイベント事に、その他にももうすぐやって来る夏に向けての季節家電、扇風機やサーキュレーターの売場作りなんかもあり、やる事が次から次へとやってきて、気の休む暇もなかった。