陰日向に咲く儚花

ちなみにではあるが、沙瑛さんからの慰謝料は分割で支払ってもらう事になった。

さすがの竜介も自分の慰謝料の支払いだけで精一杯で、沙瑛さんの分の慰謝料まで支払う余裕がなかったのだろう。

とりあえず、わたしは全額支払ってもらえるのであれば、沙瑛さんに関しては分割でも構わないと思っていた。

竜介からの慰謝料の振り込みを確認した後、わたしは佐倉さんに連絡をし、振り込みが確認できた事を報告した。

佐倉さんには、本当にお世話になった。
他の案件を抱えているにも関わらず、早急に動いてくれた為、予想よりも早く離婚する事が出来たのだから。

『また何かお困り事がございましたら、ご連絡ください。』
「はい、本当にありがとうございました。」

こうして、わたしは佐倉さんとのやり取りもこれにて終了したのだった。

「無事に終わったね。」

役所や銀行など、用事を済ます為に車を出してくれていた慈さんが運転席で言う。

わたしは「終わりました。本当にありがとうございます。慈さんにも感謝してます。」と慈さんに伝えた。

「いやいや、俺は何もしてないよ。」
「でも、慈さんがあの時、背中を押してくれていなかったら、今もきっと···"野花"に縛られていたままだったと思うので。」

わたしがそう言うと、慈さんは車のエンジンをかけ、「さて!今日はお祝いだよ!」と言った。

「お祝い?」
「そう、離婚祝い!菫さん、何食べたい?」
「んー、そうですねぇ···。じゃあ、焼肉が食べたいです!」
「よしっ!じゃあ、今日は焼肉行ってお祝いしよ!」
「やったぁ!」

そうしてわたしたちは、焼肉で離婚祝いをする事にした。

慈さんが連れて行ってくれた焼肉屋さんは、ちょっと高級な焼肉店で、わたしは初めて行くお店だった。

高級な焼肉店が初めてなわたしは少し緊張しながら、テーブル席へと案内される。

(高そうなお店だなぁ。わたし、払えるかなぁ?いや、慰謝料も貰ったし、今日くらいは贅沢しよう!)

「さて、何食べようか?特上カルビ?特上ロース?」

メニュー表を開きながらそう言う慈さんは、メニュー表をわたしが見やすい向きにして見せてくれた。

「そうですね〜、特上ロースかな?あとは、ネギ塩タンが食べたいです!」
「ネギ塩タンいいね!」

そう話しながら注文するメニューを決め、わたしたちは今日も烏龍茶で乾杯をした。
< 58 / 114 >

この作品をシェア

pagetop