陰日向に咲く儚花

次の日。
この日はわたしは5連勤後の休みで、疲れが溜まった身体が重たくてなかなか起きられずにいた。

慈さんは開店からの出勤だった為、布団の中から「行ってらっしゃい。」と見送り、8時には仕事へ出掛けて行った。

(今日は久しぶりにゆっくりしよう。)

そう思いながら、まだ布団に潜り込んでいた9時過ぎ。

枕元に置いていたわたしのスマホが鳴った。

(ん···誰だろう。)

まだ完全に開き切らない瞼を開け、スマホを手に取ると、画面には"ホームファッション売場"と表示されていた。

その表示を見て、一気に目が覚めるわたしは、急いで電話に出た。

「はい、もしもし。」
『あ!菫ちゃん?!』

電話の向こうから聞こえてきたのは、慌てた様子の福西さんの声だった。

「おはようございます。何かありましたか?」
『今日発売のゲームあるでしょ?あれの在庫、どこに置いてあるの?!』
「えっ、在庫?無いんですか?!」
『今、橋口さんが探してくれてるけど、いつものとこに無いのよ!予約のお客様が取りに来てるんだけど。』

福西さんの言葉を聞き、わたしまで気持ちが焦る。

(え、どういう事?!昨日、あのまま入荷されなかったって事?!)

「昨日、わたしが居る間に入荷がなかったので、木浦主任に書き置きはしてあったんですけど、」

わたしがそう言うと、福西さんは『あー、分かったわ。木浦くんか日向主任に聞いてみる。』と言い、電話をブチッと切られてしまった。

ツーッツーッツーッ···――――

切られてしまったスマホを握り締める手に汗が滲む。

(予約されたお客様が来てるのに、商品がない?なんで?昨日、木浦主任は確認してくれたんだろうか······)

昨日わたしが確認した段階では、ゲームは入荷されていなかった。
だから木浦主任にメモは残したし、橋口さんにも朝確認して欲しいって引き継ぎノートには記入してあった。

わたしはせっかくの休みだというのに、朝から知らされた件で気持ちが落ち着かず、ソワソワしたままその日を過ごした。
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