陰日向に咲く儚花
その後、休憩を終えたわたしは作業指示書を持って売場へと下りた。
ゲームの件でだいぶ気持ちが落ち込んでいたが、仕事中にその気持ちを引き摺るわけにもいかない。
わたしはレジ対応と接客をしながら作業指示書を一枚ずつ減らしていき、最終的に定時である19時には退勤する事が出来た。
「はぁ······」
自然と零れる溜め息は、わたしの落ち込む気持ちをよく表している。
わたしは更衣室で制服のエプロンを外し、個人ロッカーにしまうとバッグを持って静かに帰宅した。
帰宅すると、わたしはまずお米を研ぎ、炊飯器にセットして"炊飯"ボタンを押す。
お米を炊いている間に今日は何を作ろうか、冷蔵庫の中の食材と相談をし、挽き肉と玉ねぎ、ピーマンが残っているのを見て、わたしは簡単にキーマカレーを作る事にした。
(あのメモ、何でゴミ箱に捨ててあったんだろ······)
玉ねぎを切りながら、そんな事を考えていると、玉ねぎが目に染みて涙が出てくる。
すると、そのタイミングで「ただいまぁ〜。」と慈さんが帰って来た。
「おかえりなさい。」
わたしが涙を流しながらキッチンで慈さんを迎えると、慈さんは涙を流すわたしを見て「どうしたの?!」と慌てて駆け寄って来てくれた。
「今、玉ねぎを切ってたら、目に染みて。」
わたしがそう言うと、慈さんはホッとしたように「あー、そうだったんだぁ!もう帰って来たら泣いてるから心配しちゃったよ〜。」と言っていた。
「紛らわしくてすいません。」
「いや、それは全然いいんだけどさ!何作ってるの?」
「今日はキーマカレーにしようと思って。」
「おぉ、キーマカレーいいねぇ!挽き肉あったもんね!」
そう言いながら、わたしの隣で手を洗い出す慈さん。
慈さんは帰宅すると、いつもすぐにわたしの料理の手伝いをしてくれるのだ。
「玉ねぎ切るの代わるよ!あとピーマン切ればいいんだよね?」
「はい。じゃあ、わたしは炒める係りしますね。」
そう言って玉ねぎを切るのを交代してもらうと、案の定、慈さんも玉ねぎにやられて涙を流していた。