陰日向に咲く儚花
「分かったよ。ちゃんと話してくれてありがとう。」
わたしがそう言うと、慈は「誤解させてたならごめん!信じて、くれる?」と不安気にわたしに問い掛けた。
その問い掛けにわたしが頷くと、慈は「ありがとう、菫。」と言いながら、わたしを再び抱き締めた。
「はぁ〜、良かったぁ。菫に信じてもらえなかったらどうしようって焦ったよ。」
「慈は嘘つくような人じゃないって、分かってるから。」
「そりゃあ、嘘はつかないのは当然だけど、菫が傷付くような事はしたくないからさ。」
「でも···、正直ちょっとだけ不安になってた。最近、あまりコミュニケーション取れてなかったし、もしかしたら···って。」
わたしがそう言うと、慈はわたしの頭を撫でながら「不安にさせて本当にごめん。でも、菫以外の人と何かあるだなんて事は神に誓って無いし、今後もありません!」と力強く誓ってくれた。
「わかったよ、信じる。」
思い切って、慈に不安をぶつけて良かった。
そして、わたしの不安がただの誤解であったと分かって安心した。
やはり、慈は誠実な人だ。
わたしはもっと堂々と、慈を信じられる強い心を持たないとダメだなぁ。
「さて、一緒にご飯食べようよ!せっかく菫が作ってくれたオムライス!」
「そうだね。あ、ちょっと冷めちゃってるから、温め直すね。」
「あー、それは俺がやるから!菫は座ってて?菫には、大切な任務があるから!」
そう言って、オムライスを持ってキッチンへ向かう慈の背中に「任務?」と疑問をぶつける。
そして温め直したオムライスを持って戻って来た慈は、ケチャップも一緒に持って来た。
「菫の任務は、俺のオムライスに"ハート"を描くことです!」
慈の言葉を聞き、「あははっ!何、その任務!」と笑うわたし。
そして慈からケチャップを手渡されたわたしは、慎重に慈のオムライスにハートマークを描いていった。
「どう?こんな感じ?」
「おぉー!上手い上手い!ちゃんとハートだぁ!菫の愛情をたっぷり感じながら食べれそう!」
「じゃあ、慈はわたしのオムライスに何か書いて?」
わたしはそう言うと、ケチャップを慈に差し出した。
「んー、何書こうかなぁ?こりゃ、重要な任務だな。」
そう言って考え込みながら、ケチャップを受け取った慈は、わたしのオムライスに何かを書き始めた。
そこに慈が書いたのは、ちょっといびつで読みにくい"あいしてる"の言葉だった。