陰日向に咲く儚花
(わたしは、何でこんな事で苛ついてるんだろ。)
ふとそう思い、森田さんの事で苛ついている自分が馬鹿らしくなる。
わたしは慈から目を逸らすと「本当に何でもないよ。それより、これ見てよ。今回のセール品だって。何かセンスないんだよね〜。」と言い、ワゴンセールに話を逸らした。
慈は納得いっていない様子だったが、「ははっ、まぁな。うちの会社って、何でこれ?って思う物選んだりするから。」と言っていた。
すると慈が突然、「菫、今日って19時までだよな?」と訊いてきた。
わたしは突然の質問にキョトンとしながら「うん。」と頷く。
「今日さ、俺も19時までなんだけど、久しぶりに帰りに外食して帰らない?」
「あ、そうなの?最近、外食出来てないもんね。うん、いいよ。」
わたしがそう返事すると、慈は「じゃあ、決まりな!」と言い、ニカッと嬉しそうに微笑んだ。
それからわたしたちは19時になると、残業はせずに揃って退勤した。
同じ時間に退勤するのも久しぶりだった為、慈の車で帰るのも久しぶりだ。
「で、何食べに行く?」
わたしが助手席に乗り込み、シートベルトを締めながらそう訊くと、慈は「今日はね、久しぶりに焼肉行こうと思って!」と言った。
「焼肉いいね。」
「菫さぁ、前に行った焼肉覚えてる?」
「あぁ、良い焼肉屋さんだよね?覚えてるよ。」
「今日はまたそこに行こうと思ってさ!」
「久しぶりだし、奮発しちゃう?」
「そゆこと!」
そう話しながら車を出し、わたしたちは久しぶりに行く焼肉店へと向かった。
お腹が空いていて、"焼肉"と考えるだけで車の中ではお腹がグゥーグゥー鳴ってしまい、わたしが「お腹が焼肉を欲してるわ〜。」と言うと、慈はハンドルを握りながら「はいっ、すぐに着きますからね〜!」と言い、信号待ちになると、ふざけてわたしのお腹に手を当て、お腹を撫でる仕草をした。
「ははっ、わたし妊婦みたいじゃん。」
「そうだな。でも、近い未来そうなるかもよ〜?」
そんな事を話しながらわたしたちは近い未来を想像し、それが温かく微笑ましい光景である事を願いながら微笑み合った。