陰日向に咲く儚花
それからわたしたちは、二人揃っての次の休み日に結婚指輪を買いに出掛けた。
選んだのは、わたしがずっと憧れていたアクセサリーブランド"カルティナ"だ。
「わぁ、わたしカルティナ初めてだぁ。」
「そうなの?まぁ、俺もだけど。」
前回の結婚の時は勝手に竜介が結婚指輪を決めてしまった為、自分で選べる喜びを感じるのも初めてなのだ。
わたしはドキドキワクワク、それからウキウキしながら店内を見て回った。
その中でわたしがすぐに気に入ったのが、シンプルな中にもウェーブの入ったデザインにダイヤが5粒埋め込まれたマリッジリングだった。
慈はわたしの意見を尊重し、即決してその指輪を買ってくれた。
幸いにもわたしたちのサイズがあった為、その日のうちに持ち帰る事が出来た。
わたしは憧れのブランドの結婚指輪を買えて、気分が最高潮に上がっていた。
「慈、ありがとう。」
「菫が喜んでくれるの事が、俺の喜びだからさ。」
そう言ってくれる慈は、いつも以上に素敵に見えて、まるでエフェクトがかかっているかのような相乗効果があった。
帰宅すると、わたしたちは早速ソファーに座り、結婚指輪を嵌めるわたしたちなりの儀式を行なった。
「菫には、俺が指輪嵌めるよ。」
「じゃあ、慈のはわたしがする。」
そう言って、先にわたしの指輪をケースから取り出す慈。
緊張のせいかその手つきはぎこちなく、慈はわたしの左手を取った。
「森崎菫さん。」
「はい。」
「あなたは、ツライ事があっても悲しい事があっても、その気持ちを日向慈に分け与え、楽しい事や喜びを日向慈と共に分かち合い、日向慈を愛し続け、日向菫になる事を誓いますか?」
わたしは慈らしい誓いの言葉にクスッと笑うと、真っ直ぐに慈を見つめ「誓います。」と答えた。
すると、慈は「ありがとう。」と言い、わたしの左手薬指にそっと結婚指輪を嵌めた。
わたしの左手で輝く結婚指輪に、自分の左手を光りにかざして眺める。
そんなわたしに慈は「似合ってるよ。」と言ってくれた。