陰日向に咲く儚花

それから、わたしたちのクリスマスが開催された。

慈が買って帰って来てくれた白ワインを飲みながら、わたしが用意したちょっとしたクリスマスディナーでお腹を満たし、最後にケーキを食べる。

初めてのクリスマスらしいクリスマスに、わたしはそれだけで心も満たされていた。

しかし、クリスマスはそれだけでは終わらなかった。

「菫、これプレゼント。」

そう言って、慈が差し出したのは、某有名ブランドのエメラルドグリーンに白いロゴが入った紙袋だった。

「えっ!わたし、何も準備出来てないよ?!」

わたしが慈からのプレゼントに驚きながらそう言うと、慈は「これは俺が菫にプレゼントしたくて用意した物だから、そんな事気にしないで!」と言った。

最近、結婚指輪を購入したばかりだったので、それはクリスマスも兼ねての物だと思い込んでおり、わたしは何も用意していなかったのだ。

「えー、でも申し訳ないよ······」
「いいからいいから!」

そう言って、慈はわたしにプレゼントを手渡す。
わたしは申し訳ない気持ちを抱きながら、「慈、ありがとう。」と言ってプレゼントを受け取ると、慈に抱きついた。

慈は「ははっ!本当にそんなに気にしないでよ!俺は菫が喜んでくれるだけで、充分なんだからさ!」と言い、わたしを抱きしめ返してくれた。

「今度、お返しするから!」
「本当にいいから!それより、開けてみて?」

そう言ってわたしの頭をポンポンっと優しく撫でる慈。
わたしは慈から一度離れると、貰ったプレゼントの袋から中身を取り出した。

袋の中には、アクセサリーが入っていそうなケースが入っており、わたしはそれをそっと開けてみる。

すると、中から出てきたのは小粒なダイヤが輝く華奢なピンクゴールドのネックレスだった。

「わぁ、可愛い!」
「だろ?絶対、菫に似合うと思うんだぁ!」
「付けてもいい?」
「うん、いいよ。俺が付けるよ!」

そう言って、慈はケースから丁寧にネックレスを取り出すと、ぎこちない手付きでわたしの首に付けてくれた。

そして、ネックレスを身に付けたわたしを見て「うん、やっぱり似合う!」と満足そうに頷いていた。
< 98 / 114 >

この作品をシェア

pagetop