迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~
第29話 豪華絢爛な世界で
(私に熱い視線を送る令息がいるなんてあり得ません。これらの視線がカロンさんでないのなら……)
残る人物はシドリウスただ一人しかいない。
令嬢たちだけでなく、シドリウスは令息たちの視線までその美貌で虜にしていた。これなら辻褄が合う。
仮説が確信に変わったフィリーネは、すぐにシドリウスにそれは誤解だと伝える。
「あの方たちは私ではなく、シドリウス様とお近づきになりたいんですよ」
「は? どうしてそうなるんだ!?」
「だって、シドリウス様を見てうっとりしている方が何人もいらっしゃいます!」
「やめてくれ。想像しただけでゾッとする」
シドリウスが苦虫を噛み潰したような顔をしていると、奥の方から歓声が沸いた。
大広間に繋がる螺旋階段からアーネストが降りてきたのだ。
普段から気品溢れる立ち振る舞いをしているが、今日は一段と優雅な雰囲気を纏っている。彼の隣にはもちろん婚約者であるミリーネもいた。
社交界のエトワールと称されるだけあって、今夜も一段と輝いている。
周りの令息たちはミリーネの容姿に釘づけで、何人かの令息たちは頬を赤らめていた。それは令嬢も同じようで、彼女らはアーネストの美しさに黄色い声を上げている。