迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~


「舞踏会でのことも謝ります。あれは妹をちょっと揶揄うためにしただけで、陛下を不快にするつもりはありませんでした。どうかお許しください!」
 シドリウスは短く息を吐いて席を立つ。
 ゆっくりとミリーネの前に立つと、アイスブルーの瞳をすっと細めた。

「揶揄うにしてもおまえの行為は度が過ぎていた。そもそも、怪我をさせてしまったことに対してきちんとフィーに謝ったのか? 俺に許しを請うなど、見当違いにもほどがあるぞ?」
「えっと。それは、その……」
「謝ってないんだな?」
 深いため息を吐いたシドリウスは、あることをつけ加えた。


「言い忘れていたが、おまえからは光の精霊の魔力が感じられない。どうやら、見限られたようだな」
「えっ?」
 ミリーネは目を白黒させる。
 舞踏会での騒動以降、ミリーネは光の精霊・ニアを呼び出していない。
 慌ててミリーネは召喚呪文を唱えた。

「精霊界より契約者の声に応え、姿を現せ。我に力を貸したまえ」
 室内はしんと静まり返って何も起こらなかった。
 再度ミリーネが呪文を唱えるが、一向にニアは現れない。
「ど、どうしてよっ!?」
 金切り声を上げるミリーネに、シドリウスが淡々と事実を説明した。

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