迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~


「今更かも知れませんが、私と契約をしてくれますか?」
 その瞬間、紫紺蝶の紫の翅がきらりと光った。
 紫紺蝶はフィリーネの頭上で黒色の鱗粉を撒く。足下まで達したそれはフィリーネを中心に黒い光を放った。
 視界が遮られるほどの闇に包まれてしまったが、徐々に視界が開けていく。

 身体に変化はないものの、フィリーネはこれまでとは違う感覚を覚えた。
 自身の手や身体を眺めていたら、頭の中で声が響く。
 それが紫紺蝶から発せられた声だとすぐに分かった。

 ずっと心配していたこと。もっと早くに契約を結んで欲しかったこと。様々な言葉がフィリーネの頭に直接語りかけてくる。
 フィリーネは紫紺蝶に頭を下げた。

「今までたくさん心配させて、我慢をさせてしまってごめんなさい。ずっと側にいてくれてありがとうございました。改めてよろしくお願いしますね」
 紫紺蝶は二匹に分裂すると嬉しそうにフィリーネの周りを飛び回る。
 フィリーネは紫紺蝶のはしゃぐ姿を見て、自然と頬が緩んだ。

「無事に闇の精霊師が誕生したな。今後の活躍を楽しみにしている。おまえは俺の番であり、この国唯一の闇の精霊師だ」
「はい。精一杯頑張ります!」
 フィリーネは元気よく返事をしたところでふと、ある疑問が浮かんだ。

< 190 / 192 >

この作品をシェア

pagetop