迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~
(お姉様もそこまで極悪人じゃないはずです。きっともうすぐ迎えを寄越してくださいます)
現状、フィリーネがマツの木に縄で括りつけられてから半日が経とうとしている。
腕とお腹、足首の三カ所を縄で括りつけられ、身動きが取れない。
フィリーネは一心不乱に迎えが来るのを祈った。
しかし、どれだけ待っても助けが来る気配はなかった。
日は暮れて辺りが薄暗くなろうとしている。
(うう、いつまで体力が持つのか心配です)
焦燥感に襲われて心が疲弊していくのを肌で感じる。
雨風はさらに激しさを増し、括りつけられているマツの木がギチギチと悲鳴を上げながら激しく揺れる。その度に、身体に巻きついている縄が食い込んで痛かった。
きっとウエディングドレスの下の肌には、縄の跡がくっきりと入っているはずだ。痛みに表情を歪めていたら、空に光が閃いて雷鳴が轟き始めた。
(このままじゃ雷がマツの木に落ちて、丸焼けになってしまうかもしれません)
括りつけられているマツの木は、崖の上に一本だけ立っていて周りには何もない。
なんとかしてこの状況を脱しなければ雷が木に落ち、側撃を受けて死んでしまう可能性が高い。
(だけど、私にはもう気力も体力も残ってません)
震えが悪化して浅い呼吸を繰り返していくうちに、意識が朦朧とし始める。
曇天には再び閃光が走った。
やがて、ドオォンという雷鳴が響く。どうやら雷がどこかに落ちたらしい。