迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~
フィリーネは暗闇の中を彷徨っていた。
辺りはどこもかしこも真っ暗で、光が一つも見当たらない。
自分は何故こんなところにいるのだろうか。
とにかく、光を探さなければいけない。そんな気がする。
(でも、どこへ行けば光はあるのでしょう)
周りを見渡せどやはり見当たらない。恐怖からくる不安に押し潰されそうになっていたら、不意に遠くから低くて優しい声がした。
――やっと見つけた俺の花嫁。
――俺の運命の番。
――もう決しておまえを離さない。
その心地の良い声音をもっと聞きたくなった。しかし、フィリーネの願いとは裏腹にその声は遠のいていく。
(待って、行かないでください!)
フィリーネは必死に声がする方へと手を伸ばす。
すると、誰かがフィリーネの手を優しく掴んで、こっちだというように力強く引っ張ってくれた。暗闇の中でその人の胸板にぶつかる。
フィリーネが顔を上げると、アイスブルーの双眸がこちらをじっと見つめていた。