迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~
「相手は言わずもがな、そこにいらっしゃる竜人族のシドリウス様だよ。安心してフィリーネ様、主人は痛くないよう優しく食べ……ぶふっ!!」
言い終える前にシドリウスがヒュドーの頭を軽く小突いた。
「変な言い方をするな。余計にフィリーネを混乱させてしまう」
嗜めるシドリウスに、ヒュドーは頭を撫でながら口を尖らせる。
「はっきり言うのは不躾でしょう。これでも僕なりの配慮ですって」
「それはそうだが……」
二人のやりとりを耳にしながら、フィリーネは硬直していた。
(シドリウス様は竜王陛下と同じ竜人族だったのですか!?)
竜人族に会うのは初めてで、フィリーネはまじまじとシドリウスを観察してしまう。
竜人族の特徴として挙げられるのは、耳の先が尖っていること。
シドリウスの耳はしっかり尖っていた。
また、竜王陛下である方のシドリウスは顔色が悪くて爬虫類をぺしゃんこにした醜男だと言われている。
それに対して目の前にいるシドリウスは、かなりの美丈夫だ。
(名前が同じですが竜王陛下とは別人のようです。……って、名前に気を取られている場合ではありません! もっと重大な事実を知ってしまいました。まさか、竜人族が人間を食べる種族だったなんて!!)
ヒュドーによる遠回しな表現は、純粋なフィリーネに誤解を与えるには十分だった。
フィリーネは両頬に手を添えて青ざめる。