迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~

第9話 第二の生贄2



(ということは、番以外の人間は食糧ということですか? ヒュドーさんが生贄には若くて健康な乙女が一番だと仰っていましたので、竜人族が食べるのは若くて健康な女性限定のようです。……どう考えても私は当てはまっていますよね!?)

 フィリーネは痩せっぽちではあるが身体は健康だ。歳も今年で十八になる。
 どう見積もっても生贄の花嫁になる条件と一致していた。
 フィリーネは小さく手を挙げて弁解する。

「あの、私が生贄の花嫁になったのはちょっとした手違いです。なかったことにはできないのでしょうか?」
「どういった経緯で生贄の儀式が行われたのか分からないけど、儀式は完了している。諦めて」
「そんな無茶苦茶な……」
「だって君、元気そうだし。まあ、シドリウス様が魔法で傷を癒したとはいえ、三日も眠り続けたのは流石に心配したけどね」


 ヒュドーの言葉にフィリーネが目を見開く。
「えっ。私、三日も眠っていたんですか!?」
 せいぜい一日だけかと思いきや、まさかそんなに時間が経っているとは思わなかった。

 一刻も早く屋敷に帰らなくてはいけない。
 屋敷を留守にしてミリーネもハビエルもきっとカンカンに怒っている。使用人たちも心配しているだろうし、自分が担当している仕事が誰かに振り分けられて負担になっているのを考えると申し訳なくなる。

 フィリーネは床に足をつけて立ち上がった。
「迎えが来ているかもしれないので、マツの木があった場所まで戻ります」
 歩きだそうとすると身体が思うように動かなくて足がもつれた。転びそうになっていると、すかさずシドリウスが逞しい腕で抱き留めてくれる。

< 36 / 106 >

この作品をシェア

pagetop